2021 Fiscal Year Research-status Report
Transformation of Zulu Ethnicity in South Africa: From Segregation to Xenophobia
Project/Area Number |
21K13116
|
Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
上田 朋広 (上林朋広) 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 日本学術振興会特別研究員 (70876250)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ズールー語 / 南アフリカ / 移民排斥 / ヨハネスブルク / アパルトヘイト / 都市と農村 / クワズールー・ナタール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、南アフリカにおける過去の人種隔離政策と現在の排外主義との結び付きを、同国で最大の人口を持つ民族であるズールー人のエスニシティという観点から考察することである。本研究は19世紀末から現在に至るまでのズールー・エスニシティの変容を①農村と都市におけるズールー王家の影響力と②書き言葉・話し言葉としてのズールー語の歴史という二つの観点から分析する。以上の分析を通して、本研究は、ズールー人の視点を通した都市と農村に関する研究の架橋を目指す。 研究初年度にあたる2021年度は、予定通り先行研究の整理および既に収集済みの史料の分析を中心に行った。また今後南アフリカ及びイギリスでの現地調査の準備として、収集すべき史料の確定に向けた作業を実施した。 鉱山労働者の送り出し地域であるズールーランドに関する作業としては20世紀初頭に白人行政官ジェームズ・スチュアートがズールー語で執筆した歴史教科書の分析を進めた。その成果に基づき、西洋史学会を含む3回の報告を行った。また報告内容をまとめて、スチュアートの簡潔な生涯と彼の歴史教科書の梗概を記した章を含む一般向け書籍『ズールー語が開く世界:ことばを学びながら考えた南アフリカ社会(仮題)』の原稿を書き上げた。 ヨハネスブルクを中心とした都市研究は、研究動向整理を中心に作業を行った。ヨハネスブルクを対象とした都市史及び社会学的研究を個人で読み進めるとともに、同年代の研究者と月1回の読書会で関連文献を検討した。またアパルトヘイト政策の撤廃・民主化に伴い20世紀末に大きな変動を経験したヨハネスブルクを個人の心象地理の観点から捉えるために、小説・回顧録の読解を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オミクロン株の蔓延により予定していた国内調査を実施することができないなど、予定変更をせざるを得ない面はあったが、概ね予定通りズールー語歴史教科書の読解及びヨハネスブルクを中心とした都市史関連の研究動向の把握を行えたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
南アフリカでのアーカイブ調査及び研究報告を予定している。1879年のズールー戦争から1948年のアパルトヘイト政策開始までの時期を中心に、史料の収集・分析を進める。具体的には、南アフリカ公文書館ピーターマリッツバーグ分館に保存されているナタール植民地・州のSecretary for Native Affairs文書を中心に作業を実施する。またヨハネスブルクを中心とする都市研究の動向整理も引き続き行う。
|
Causes of Carryover |
2022年2月に大阪に出張し、国立民族学博物館附属図書館で調査をする予定であったが、オミクロン株の蔓延により、調査を中止した。そのため、割り当てていた旅費を次年度使用することとなった。
|