2022 Fiscal Year Research-status Report
Transformation of Zulu Ethnicity in South Africa: From Segregation to Xenophobia
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21K13116
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
上田 朋広 (上林朋広) 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(CPD) (70876250)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ズールー語 / 南アフリカ / 移民排斥 / ヨハネスブルク / アパルトヘイト / 都市と農村 / クワズールー・ナタール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、南アフリカにおける過去の人種隔離政策と現在の排外主義との結び付きを、同国で最大の人口を持つ民族であるズールー人のエスニシティという観点から考察することである。本研究は19世紀末から現在に至るまでのズールー・エスニシティの変容を①農村と都市におけるズールー王家の影響力と②書き言葉・話し言葉としてのズールー語の歴史という二つの観点から分析する。以上の分析を通して、本研究は、ズールー人の視点を通した都市と農村に関する研究の架橋を目指す。 研究2年目にあたる2022年度は、宣教師・植民地行政官・言語学者による書記言語としてのズールー語の確立、及び白人の言語学者とアフリカ人知識人との交流に焦点を絞って調査を実施した。具体的には、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)、南アフリカ公文書館ピーターマリッツバーグ分館、クワズールーナタール大学キリー・キャンベル図書館において史料収集を実施した。 成果としては、以下を挙げることができる。1. 書記言語としてのズールー語の歴史を辿った書物『ズールー語が開く世界』が10月に出版された。2. 史料調査という面では、ドイツ出身の言語学者Wilhelm Bleekとイギリス出身の宣教師William Colenso間の書簡、宣教師Harriet ColensoとSOAS言語学教授Alice Wernerの間での交わされたズールー王家・ズールー語に関する書簡、ツワナ人知識人Solomon Plaatje関連の史料などを収集した。 また客員研究員として滞在したヴィッツ社会経済研究所で研究報告を実施し、南アフリカ史の専門家から助言を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに書籍が刊行され、史料調査・研究報告を実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の実施方針としては以下を予定している。1. 昨年度行った研究報告のペーパーを修正・加筆し、投稿論文として完成させること。2. 昨年度収集した宣教師・言語学者に関する史料の読解を進め、研究報告用のペーパーを作成する。3. これまでの史料調査において不足している、都市としてのヨハネスブルクの発展とズールー人労働者に関する史料の収集と読解。
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Causes of Carryover |
南アフリカ共和国内務省の方針変更のため、ビザの取得が遅れた。そのため、当初予定していた史料調査計画の一部が実施できなかった。そのため、次年度に使用額が生じた。計画していた史料調査は、2023年度に実施する予定である。
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