2023 Fiscal Year Research-status Report
Transformation of Zulu Ethnicity in South Africa: From Segregation to Xenophobia
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21K13116
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
上田 朋広 (上林朋広) 甲南大学, 文学部, 講師 (70876250)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ズールー語 / 南アフリカ / 移民排斥 / ヨハネスブルク / アパルトヘイト / 都市と農村 / クワズールー・ナタール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、南アフリカにおける過去の人種隔離政策と現在の排外主義との結び付きを、同国で最大の人口を持つ民族であるズールー人のエスニシティ という観点から考察することである。本研究は19世紀末から現在に至るまでのズールー・エスニシティの変容を①農村と都市におけるズールー王家の影響力と②書き言葉・話し言葉としてのズールー語の歴史という二つの観点から分析する。以上の分析を通して、本研究は、ズールー人の視点を通した都市と農村に関する 研究の架橋を目指す。具体的には、対象時期を人種隔離形成期、アパルトヘイト期、ポス トアパルトヘイト期の3つに分け、長期的な観点からズールー・エスニシティの変容を明らかにすることを計画している。 研究三年目にあたる2023年度は、人種隔離形成期に関しての研究成果を論文にまとめて発表するとともに、アパルトヘイト期・ポストアパルトヘイト期に関する調査を行った。 具体的な成果としては、ナタール植民地のアフリカ人統治政策が南アフリカ連邦全体の人種隔離政策に与えた影響を検討した論考を、「模倣すべき「過去」:南アフリカ・ナタール植民地における武装蜂起と人種隔離政策の形成」佐川・竹沢・松本編著『歴史が生みだす紛争、紛争が生みだす歴史:現代アフリカにおける暴力と和解』として発表した。アパルトヘイト期に関する論考としては、ズールー人女性の個人史として、ズールー王Solomon kaDinuzuluに嫁いだChristina Sibiyaに関する史料調査を実施した。同研究に関しては、今後学会報告を行った後、論文を執筆する予定である。さらに、ポストアパルトヘイト時代の南アフリカにおける歴史研究の動向をまとめた論考は、雑誌『歴史評論』の2024年7月号に掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査、学会・研究会での報告、論文発表が予定通り、遂行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ポストアパルトヘイト時代のズールー・エスニシティに関する調査を新聞などのメディアを中心に遂行するとともに、2023年度の調査の成果をもとに学会報告・論文執筆を進める。
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Causes of Carryover |
1,386円が残額となったが、基金のため次年度使用額と合わせた方が有効に活用できると考えたため。研究書を購入する予定である。
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