2021 Fiscal Year Research-status Report
河川上流域における支流の土砂供給様式の長期的変化過程の解明
Project/Area Number |
21K13151
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 尚志 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (60848050)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 河成段丘 / 支流 / 扇状地 / 支流閉塞 / テフラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,段丘地形発達史の復元と,地理情報システム(GIS)ソフトを用いた数値地形解析を組み合わせ,最終間氷期以降の東北~中部日本の河川上流域における,支流から本流への土砂供給様式の変化を数千~数万年スケールで復元し,支流の土砂供給様式の変化過程と支流集水域の地形・地質条件の関係を検討することを目的としている.本研究が対象とする段丘地形や段丘堆積物を編年する上では,段丘地形を覆う,もしくは段丘堆積物に挟まる火山灰(テフラ)層の対比・同定が重要となる.本研究で対象とする堆積物中に挟まれるテフラ層は複数枚あり,詳細な編年のためには,これらを識別することが必要不可欠である.このことから,後期更新世に御岳火山を給源として噴出したテフラの模式試料を入手して,顕微鏡観察や室内分析による鉱物組成や屈折率,主成分化学組成の測定を進めた.段丘堆積物から見いだされた未知テフラ試料は,先行研究および上記の模式試料の分析結果を参考に対比を試み,段丘堆積物の編年を進めていく予定である.また,関東および東北地方の河川流域を対象として,合流点付近における支流性の地形・堆積物の形成に関係していると考えられる,支流集水域の地形解析を実施し,集水域起伏や流域面積などを算出した.今後,調査成果を合流点付近における地形・地質断面図に整理するとともに,支流集水域の解析結果と組み合わせて検討し,支流集水域の地形・地質条件と合流点付近の段丘発達史の関係について検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響により,当初予定していた現地調査や作業などは満足には遂行できなかったが,段丘発達史を復元する上で必要となるテフラ試料の分析やGISによる地形解析などの室内作業を進めることができた.今後,情勢を見ながら現地調査を実施し,室内分析・解析で得られた成果を活用して調査結果を整理して研究を加速させる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
地形判読・解析の成果をもとに,現地調査を加速させる.また,合流点付近の埋積過程を復元する上では,合流点付近に残された支流性と考えられる細粒堆積物の堆積環境の推定が肝要になるので,珪藻分析などを外注して実施する予定である.また,埋積過程を復元する上では,砂礫質な本流河川性の堆積物の年代決定も重要だが,これらの堆積物はテフロクロノロジーによる編年が難しいので,他の年代推定手法の実施も視野に入れて検討する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響に伴う現地調査と分析外注の延期が主な理由である.来年度,現地調査を進めるとともに,試料分析の外注も進める予定である.
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