2023 Fiscal Year Research-status Report
砂浜海岸の3次元地形変化と流域特性を考慮した海岸浸食要因の解明
Project/Area Number |
21K13152
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
中田 康隆 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10827041)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 流域管理 / 土砂管理 / 海岸侵食 / RTK-UAV / Lidar / 土地利用 / 生態系 / 自然再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、砂浜海岸の3次元地形変化と流域特性(上流~沿岸までの幅広い環境要因)の関係を把握するため、東北及び九州における6流域の河口の砂浜海岸を対象に、現地でのデータ取得とその地形変化をUAV(ドローン)と航空機レーザデータを用いて3次元解析を実施した。具体的には、土砂量等のデータが充実している国土交通省直轄ダム流域の河口の砂浜海岸を対象に、2023年10月から11月に位置精度の高いRTK-UAVにて空撮を実施し、3次元モデル(数値表層モデル(DSM)とオルソ画像)を作成した。北海道・本州・四国・九州の24流域を対象に、UAV-SfM-MVSで作成したDSMと航空機レーザーデータ由来のDSMを用いて、砂浜海岸の年間の体積変化量を求めた。海浜部と砂丘部の変化量の関係を解析した結果、負の相関関係が確認された。これは海浜部が堆積すると砂丘部が侵食し、海浜部が侵食すると砂丘部が堆積するというBeach-Dune systemの砂の往来による維持機構が反映されたものと考えられる。さらに、この堆積変化量を目的変数とし、緯度、流域の面積・年間降水量・人口密度・森林率、砂浜海岸後背の土地利用等の流域特性を説明変数とし、相関分析とGLM解析を実施した。その結果、砂丘部の体積変化量と緯度の間に正の関係が、流域の人口密度・砂浜海岸後背の土地利用との間に負の関係が見られた。前者は、流域内の人為強度や砂の供給量の多寡が反映され、高緯度ほど侵食量が少なくなる傾向にあると考えられる。後者は、人口密度が高い流域ほど、人為強度が高く、砂の供給量が減少し、海岸砂丘が侵食傾向を示したものと考えられる。本結果は、24流域のみを対象にしており、現時点でサンプル数が十分とは言えない状況にあることから、今後はデータを追加し、解析精度を向上させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において、研究期間の5年間で、全国の30流域を対象に調査・解析を実施する予定年、砂浜海岸の3次元地形変化と流域特性の関係の解析については、4年目以降で実施する予定としていた。本年度(3年目)は6流域を追加し、砂浜海岸での現地調査、3次元解析、流域特性の関係解析を24流域で実施できた。残りの2年間で,6流域以上の調査・解析を進め,30流域以上のデータを基に,砂浜海岸の堆積変化量と流域特性の関係性を把握する予定である。以上から、当初の計画通りおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、東北・九州の6流域の砂浜海岸の調査・解析を追加で実施し、24流域を対象に砂浜海岸の体積変化量と流域特性との関係を把握した。次年度以降は、本州・四国・九州を対象に現在取得している24流域のデータとのバランスを見つつ,6流域以上の砂浜海岸を対象に、RTK-UAVと航空機レーザデータを用いた地形変化の調査と解析を実施し、合計30流域以上を対象に砂浜海岸の体積変化量と流域特性との関係を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度のR3年度は、北海道外の調査を予定しており、旅費を多く計上していたが、コロナ禍の影響により北海道外の調査が実施できなかった。そのため、北海道内の調査を優先的に実施する方針に変更した。R4年度以降の北海道外の出張旅費を確保するため、予算繰越を行う方針とした。R5年度以降もサンプル数を増やすため遠方での調査が多く、旅費への支出が多くなることや、当初計上していなかった国際学会や国際誌での成果発表も念頭に、予算繰越を行う方針とした。
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