2021 Fiscal Year Research-status Report
組成データ解析に基づく定数和制約下の空間回帰モデルの開発
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21K13153
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 崇紘 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (60826767)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 組成データ解析 / 定数和制約 / 空間的自己相関 / 空間的異質性 / 地理的加重回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、組成データ解析と空間統計学/空間計量経済学的手法を接続し、組成データのための空間回帰モデルを新たに開発すること、そして、空間データのモデリングにおいて定数和制約が及ぼす影響を定量的に把握することを目的としている。具体的には、[I]空間的自己相関と空間的相互相関、[II]空間的異質性を考慮した空間回帰モデルの開発に取り組み、定数和制約の考慮有無によるパラメータ推定や予測精度への過大/過少評価の傾向の定量化やパラメータ解釈への影響を明らかにする。そして、開発した方法論を統計解析ソフト R において整理し、[III]パッケージの公開・利用促進を通じて実用化を図ることにも取り組む。 初年度は、[II]空間的異質性を考慮した空間回帰モデルの開発として、組成データのための地理的加重回帰モデルを定式化し、米国における所得階級別人口の組成データへの適用を通じて、定数和制約を伴った形で得られるパラメータ推定値、予測値の解釈上の有用性を示すことができた。[I]空間的自己相関と空間的相互相関を考慮した空間回帰モデルを検討する中で得られていた誤差相関の対処も[II]に活かすことができた。[I]のモデルの定式化には課題が残っているものの、国際学会での発表と国内外の専門家との意見交換から有益な示唆を得ることができた。[III]パッケージの公開・利用促進に向けて、[I]、[II]のモデルの推定コードを関数化し、パッケージ化のテストを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は[II]の研究で大きな進展が得られた。組成データのための地理的加重回帰モデルを定式化でき、一定の成果を得ることができた。[I]については課題が残っているものの解決の目途はついており、現時点で特段の問題は生じていない状況である。[III]については[I]、[II]に関する論文の採択通知後、速やかに公開する準備が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は[II]を中心に概ね順調に研究を進めることができた。第二年度は、[II]の論文採択に向けた対応を進めるとともに、分析は[I]にやや重点をおいて研究を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、後年度交付予定額の前倒し支払請求時に予定していた論文成果資料の準備が部分的に完了せず、校正費を計上しなかったためである。繰り越した金額は、第二年度中に参加する国際学会発表論文の校正費として支出予定である。
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