2023 Fiscal Year Research-status Report
梅雨と秋雨の過去120年間の長期変動の実態とメカニズムの解明
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21K13154
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
遠藤 洋和 気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 主任研究官 (40462519)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 夏季東アジア / 梅雨 / 長期変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存研究(Ose et al. 2022)で示されている、CMIP6の多数モデルが予測する21世紀末の夏季東アジア海面気圧の南高北低偏差パターンについて、JRA-55長期再解析データを用いて1980年以降の出現状況を調査した。その結果、近年の観測された長期変動において南高北低の偏差パターンが現れつつあることが分かった。その要因としては、将来変化をもたらす要因と同様に、北半球中高緯度の大陸および周辺海域の大きな昇温によることが示唆された。また、観測された統計関係に基づくと、この南高北低偏差パターンは東北日本海側や北陸の降水量増加と関係することが分かった。 CMIP6マルチモデルによる過去実験(historical)と将来実験(SSP5-8.5)の出力データを用いて、19世紀後半~21世紀末の夏季東アジアの気候変動解析を行った。マルチモデル平均において、日本付近の降水量は、20世紀後半は6月に減少して7月に増加する(梅雨季節進行の遅れ)傾向、21世紀は夏季を通して増加する傾向が見られた。一方で中国大陸の降水量は、20世紀後半は夏季を通して減少する傾向、21世紀は夏季を通して増加する傾向が見られた。夏季東アジアの大気循環変動では、対流圏上層の偏西風は20世紀後半に強化・南下傾向の一方で21世紀は弱化傾向が見られた。対流圏下層の南風モンスーンは、中国大陸上で20世紀後半は弱化傾向の一方で21世紀は強化傾向が見られた。これらの結果は、日本付近と中国大陸で異なる長期傾向、20世紀後半と21世紀で異なる長期傾向を示しており、興味深い結果である。要因について今後詳しく調べていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年度目の計画に沿って、長期大気再解析(JRA-55)データを用いた広域解析を行い、夏季東アジアの海面気圧パターンで見られる長期変動を明らかにした。また、CMIP6マルチモデル実験の解析に着手した。将来実験の解析は当初計画に含めていなかったが、過去~将来の長期変動を連続的に調べることにより過去変動をより俯瞰的に捉えられると考えて追加した。以上、おおむね計画通り順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
CMIP6の気候変動の検出と要因分析に関するモデル相互比較実験(DAMIP)における人為起源温室効果ガス強制実験(hist-GHG)、人為起源エーロゾル強制実験(hist-aer)、自然起源強制実験(hist-nat)を用いて、東アジアで20世紀に観測された降水変動の要因分析を行う。降水量変動の解析では、力学的要因(大気循環変化)と熱力学的要因(水蒸気量変化)の分離を行う。梅雨と秋雨の長期変動に対して広域スケールからの解釈を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額1,515,786円は、当初計画で初年度目と2年度目に予定していたPC購入費とデータストレージ購入費の一部が未使用であること、2年度目に予定していた海外研究集会参加を見送ったこと、および研究費を効率的に使用して発生した残額である。次年度に請求する金額と併せて、データストレージ購入、海外研究集会参加、学会誌投稿料等、研究計画遂行のために使用する。
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