2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on Organization of Supply Systems in Major Mango Producing Areas in the Philippines
Project/Area Number |
21K13159
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
中窪 啓介 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教 (20898902)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 産地形成 / 熱帯果樹 / 高付加価値作物 / サプライチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はフィリピン・ギマラス州において2度の現地調査を予定していたが,新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて実現できなかった。現在,感染状況は一時期ほど深刻ではなく,移動制限も緩和されつつあるとはいえ,当初予定していた現地調査が今後も実施できない場合に備えることが求められる。それゆえ,フィリピンで現地調査が再開できるまでの間は,研究代表者が以前から取り組んできた日本国内の亜熱帯地域における熱帯果実産地の組織化・再編の研究を進展させ,研究成果の発表を継続する。さらに,それによって得られた知見,発展させた視点と枠組みを,フィリピンにおけるマンゴー産地の組織化をめぐる議論に活かす。 これに向けて2021年度は,フィリピンと同様に農産物産地の組織化の点で課題を抱えてきた沖縄県を対象にして,本土復帰前・復帰後における熱帯果樹の導入および産地形成をめぐる調査を実施した。政策文書や統計に表れない過程が多いため,当時の状況に詳しい種苗業者に聞き取りを進めるとともに,地方新聞やローカルな雑誌を含む各種の郷土資料をあたった。 一方,南北間のフードシステムをめぐる視点と枠組みを発展させるべく,近年各分野で関心が高まりつつある,サプライチェーンを通じた非資本主義的生産からの収奪に関して理論研究を進めた。この成果は「経済地理学会」の2021年度 関東支部・関西支部合同2月例会(テーマ:経済地理学からみた農山村研究の視点と課題)にて発表した。 さらに,途上国農業・農村研究を含む,農林業分野の地理学の動向をレビューし,学界展望として発表した。 加えて,この数年のうちに,フィリピンの研究成果を若手研究者らと学術書として出版する計画が進行しており,メンバーで会議と研究会を重ねてきた。2021年度は各自の執筆内容と大まかな章構成が決定し,各章の内容に関しても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて,フィリピンでの現地調査が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の拡大が収束しフィリピンでの現地調査が再開できるまでは,知見・枠組みの応用や比較研究を念頭に置いて,日本国内におけるマンゴー,熱帯果樹の産地形成・再編に関する調査を継続する。沖縄県の本土復帰前・復帰後における熱帯果樹の導入と産地形成をめぐる調査の成果は,「史学研究会」の2022年度例会で発表し論文にまとめる。また,追跡調査を行ってきた宮崎県のマンゴー産地を対象にして,農家経営と産地戦略の両面から産地再編の実態を検討し,論文として発表する。 フィリピンの事例研究に関しては,まずは研究計画の初年度に予定していたギマラス州での現地調査を実施したい。これと並行して,ギマラス州の産地の組織化について,これまで入手したデータを中心にして論文を作成し,若手研究者らと編著を出版する。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】 新型コロナウィルス感染症の影響で現地調査が実施できなかったため。 【使用計画】 予定している大学の夏季休業と春季休業におけるフィリピンでの現地調査以外にも,比較研究や知見・枠組みの応用に向けて沖縄県などで国内調査を行うため,これらに旅費40万円をあてる。また,国内調査のために新たに必要となった資料があるため,当初の予定と合わせて物品費20万円を使用する。
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Research Products
(5 results)