2021 Fiscal Year Research-status Report
日英における近代水陸交通の地域的変化に関する歴史GIS研究
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21K13161
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
飯塚 公藤 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (10516397)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水陸交通 / 歴史GIS / 近代 / 日英比較 / 地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近代日本において水陸交通が盛んであった淀川流域・利根川流域・東海地方の主要な5流域を対象に歴史GISの手法を用いて水陸交通の地域的変化について研究を進めてきた。本研究では日本の近代水陸交通が他国と比べて,時間的・空間的にどのような地域的変化がみられたのか,共通性の有無などを比較検討し,水陸交通の変化がもたらした地域の影響を明らかにする。 2021年度は下記の1)2)の研究を行った。 1)2022年度以降に実施予定の英国での現地調査に向けた事前調査のうち,研究機関における所蔵資料の確認を進めた。具体的にはBritish LibraryのWebサイトで閲覧可能な水陸交通に関する史資料を確認するとともに,オープンデータサイト「data.gov.uk」から資料やデータを入手した。このほか現地調査では大学図書館や,National Waterways MuseumやLondon Canal Museumなどの博物館,水路を管理するCanal & River Trustへの聞き取り・資料収集が必要であることを見出せた。 2)研究代表者が所有している英国の水陸交通に関する史資料からGISデータベースの構築を行った。具体的には英国の水陸交通のうち運河網の敷設年代や幅員,閘門,鉄道などに関するGISデータ構築に取り組んだ。GISデータベース化にあたり,当初の計画通り,高スペックなノートPCを購入するとともに,史資料の撮影や現地調査に向けて,前回の研究課題で購入した一眼レフカメラに使用可能なカメラレンズを購入した。所有している史資料のデジタル化のために,撮影を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は次年度以降に実施予定の英国での現地調査に向けた事前調査のうち,National Waterways MuseumやLondon Canal Museumなどの博物館学芸員との連携については,ほとんど進展がなかった。その理由として,COVID-19の影響により現地調査の実現可能性が低いことから,上述のように研究機関における所蔵資料や論文収集にとどまった。また,日英比較に向けた近代日本の水陸交通に関する追加調査についても感染拡大の影響により,次年度以降に見送ることにした。 その一方で,英国における水陸交通のGISデータベース化については,おおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)英国での現地調査に向けて,EメールやZoomなどのオンラインツールを利用して,National Waterways MuseumやLondon Canal Museumなどの博物館学芸員と連絡を取り,効率的な資料収集につなげていく。 2)英国の水陸交通に関するGISデータベースの構築に向けて,史資料に記載された情報をもとに統計データを作成し,地図データと結合する必要があるが,交通史や社会経済史などの研究蓄積をもとにデータ化を進めていく。 3)水陸交通の日英比較に向けて,COVID-19の感染状況を注視しながら,先行して日本での追加調査を進める。現地の学芸員と連絡を取りつつ,英国における現地調査の実施も検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により,日英比較に向けた近代日本の水陸交通に関する追加調査ができなかったため,それにかかる旅費223,844円が2021年度に執行できず,次年度使用額となった。次年度は,これまで現地調査や資料収集ができなかった地域での追加調査に使用する予定である。
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