2021 Fiscal Year Research-status Report
Reconsider Relationships between Hunter-Gatherers and Farmers in African Rainforest: Through Interregional Comparison
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21K13167
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
彭 宇潔 立命館大学, OIC総合研究機構, 研究員 (70791218)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 民族間関係 / アフリカ研究 / 集団行動 / 狩猟採集民 / 地域間比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、カメルーン東南部における狩猟採集民バカと農耕民の関係について、地域間の共通点と相違点を明らかにして、両者に多様な関係が生じる要因を探究することである。 2021年度には、海外研究機関での資料収集ができなかったが、イェール大学の民族誌データベースe HRAFの活用や、過去に収録したフィールドデータの再整理を通して、本研究に必要とされる「歴史的・地域的背景」の解明が一部できた。 1)アフリカに見られる文化の伝承・継続・遮断、および民族間における交流について瘢痕文化を事例に、HRAFの民族誌データベースを用いてテキスト分析をおこなった。西アフリカと中部アフリカにおけるイスラームによる影響およびそれに基づく地域間の文化融合、東アフリカに見られる紛争と対立の身体化、南部アフリカの狩猟採集民に見られる動物モチーフの利用など、時代的・地域的特徴を明らかにした。それに関する成果を研究会での発表をおこない、英語論文を執筆して、国際学会誌に投稿する準備が進めている。 2)調査対象地の狩猟採集民バカが集団活動時のコミュニケーションと意思決定について、過去のフィールド映像を再整理・再分析した。集団活動に参加するメンバーたちの行為(発話・身振りなど)を書き起こして、彼らの移動中のインタラクションの特徴を明らかにした。一方で、数時間にわたる集団活動は個々のメンバーによるその都度の発見に基づくインタラクションによって、「単なる移動」、「オニネズミ猟」、「果実の採集」、「漁ろう」、「食事」など即興的にシフトするパターンを明らかにした。関連する分析結果は、各種研究会で発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19のため、カメルーンの旧宗主国(フランス、ベルギー、ドイツなど)に渡航できず、調査対象地域に関する古写真や地図、外国語文献などの民族誌資料の収集ができなかった。また、現地の通信環境や事情によって申請した当初よりも厳しくなり、現地の調査助手との連絡がほとんど取れず、リモートフィールド調査が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID19の大流行によってアフリカへの渡航の見通しが難しい、調査地の人々との連絡が現地の環境によって継続的にできないという状況がつづくが、様子を見ながら以下の通り、推進方策を立てる。 【渡航可能】まず6月末にダブリンで開催する国際狩猟採集民会議に参加して、現地調査について世界各地の研究者と交流し、情報交換する。もしカメルーンへの渡航が可能になったら、当初計画した通り、2月ごろに一回フィールドワークを実施する。ただし、各国の感染対策によって渡航期間が変更する必要があると考えられる。 【渡航不可能】国際狩猟採集民会議にオンライン参加して、現地調査の対策を他の研究者たちと議論して考える同時に、調査地の助手に引き続き連絡をトライする。また、これまでフィールドで記録した未分析のデータを新たな視点と分析手法を用いて再整理・再分析することに努める。国内外の学会での発表や、論文などの出版物を通して積極的に成果を公表する。
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Causes of Carryover |
当初計画した海外機関における資料調査ができなかったため、旅費を過去のデータの分析に使うための物品費に変更したが、使えなかった金額も生じた。次年度においては、海外機関への渡航が可能になった場合、資料調査に使用する予定です。
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