2022 Fiscal Year Research-status Report
Reconsider Relationships between Hunter-Gatherers and Farmers in African Rainforest: Through Interregional Comparison
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21K13167
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
彭 宇潔 静岡大学, 人文社会科学研究科, 講師 (70791218)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 狩猟採集民 / アフリカ / 民族誌データベース / コミュニケーション / 資源利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域の景観変化およひ生業内の集団行動を分析し、現代の狩猟採集民と農耕民の関係に多様な変化が生じる要因を再検討することである。第2年度では、森林地域を頻繁に利用する大乾季(12-1月)に、調査地のバカたちに対して活動範囲の把握のために移動ルートの情報収集を1回おこなう予定であった。しかし、コロナ禍終息にともない、渡航費用が一時的に高騰していたことと、新しい所属の本務校での仕事スケジュールによって渡航時期の変更調整ができなかったため、調査のための渡航ができなかった。なお、初年度の研究内容の続きとして、「1)民族誌資料とGISを活用した活動範囲の把握」、および過去のフィールドワークで記録した映像データに対する分析を通して「2)資源を利用するときの集団活動に対する相互行為分析」をおこなった。下記のところまで進めた。 (一) 民族誌データベースの活用の検討:民族誌データベースeHRAFを用いて、アフリカの瘢痕文化についてテキスト分析を継続した。分析の結果から分かったことは、そのタイプの民族誌には各時代の民族誌を書く著者たちの異なる関心と専門分野によって、 瘢痕文化に関する記述には質と量のばらつきがかなり大きい。そのため、瘢痕文化に影響を与える要素について分散分析などの精度の高い多変量解析が難しい。分析の結果を国際シンポジウムでの口頭発表および同シンポジウムの論文集での論文掲載ができた。 (二) 過去の映像データに基づく相互行為分析:今年度では主に、バカたちに見られる「a. 森を移動するときのコミュニケーションの様相および地域間比較」と「b. キャンプにいる時のコミュニケーションに見られる発話の重複と逸脱のパターン」について分析をおこなった。とりわけaの成果を英語の投稿論文にまとめており、投稿の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
二年目に予定していたフィールドワーク(12-1月)はコロナ禍終息に伴う渡航に必要な費用の高騰や渡航時期の調整が困難だったことによって、調査を見送った。また国際学会への現地参加も同じ原因でできず、海外の研究者たちとの情報交換や海外の研究機関での資料調査ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度にはコロナ禍の終息によって昔とほぼ同じように海外渡航ができるように考える。ただ、当初計画していた大乾季(12月-1月または2-3月)での現地調査は今後でも難しいため、現地調査のスケジュールと調査内容の修正を検討する。 1)2023年度からは毎年の渡航を、8-9月の一回のみにする。 2)地域間比較をするための十分なデータを取るように、一回の現地調査は一箇所のみで実施する。 3)カメルーン人の研究者たちと定期的に、研究に関する打ち合わせを行い、共同研究を通して情報・データを補う。
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Causes of Carryover |
予定していた海外渡航(海外機関での学会参加、カメルーンでの現地調査)ができなかったため、その分の残額が生じた。2023年度では、当初計画した通りの8、9月のカメルーン渡航のほか、2021-2022年度にできなかったフランスなどの海外研究機関での資料調査に使用する予定である。
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