2021 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ大湖地域の暴力に付随した「移動」の経験:ルワンダの国内避難民を中心に
Project/Area Number |
21K13168
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 有希子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (10847148)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 移動 / 暴力 / ルワンダ / アフリカ大湖地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国境の外に出ることなく避難を余儀なくされた人びとをおもな対象として、そうした「移動」がかれらにいかに経験されているのかを検討することにある。避難先における生活基盤の確保と社会関係の構築の仕方を明らかにするなかで、容易に不可視化されうる国内避難民の実態を提示するとともに、かれらの日常的な実践のなかに暴力の再発を抑止する可能性を探求していく。 令和3年度には、「国内避難民研究の整理と支援の実態」に関わる現地調査を遂行するための海外渡航を待望したものの、新型コロナウィルス感染症の世界的な流行による影響でその機会は得られなかった。ただし、日本で収集可能な範囲の先行研究の読み込みと整理をおこなった。加えて、日本国内において災害からの避難を余儀なくされた人びとの事例に触れ、参照点とするなかで、研究の理論的展開の方向性を思考した。なお、インターネット環境にあるルワンダ人の調査協力者には、一部、メールによる補足情報の聞き取りをおこなった。 研究成果の公開としては、アフリカの紛争と歴史に関する研究会、および東南アジアの身体と共生的関係に関する研究会において、招待講演をおこなった。また令和3年度中には未刊行であるものの、ジェンダーから見直す世界史に関わる解説本や、集団的暴力の社会史についての英文学術書へ原稿を寄せた。アウトリーチ活動として、学部新入生向けのイベントにおいて自身の研究紹介をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の世界的な流行による影響で、ルワンダやその周辺地域での現地調査が実現できず、研究に必要な資料が手に入っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度については、ルワンダやその周辺地域、および日本国内の新型コロナウィルス感染症の状況に注視しながら、ルワンダでの現地調査に従事することができる場合には、令和4年度の後半を目途に現地調査に従事する。ルワンダへの渡航が難しい状況がつづく場合には、これまでに収集した調査資料のうち、未整理のものに関する分析をすすめる。それらを学術雑誌における論文や書籍の一部を構成する論文として出版するための執筆をおこない、関連する学会や研究会などで口頭発表をおこなって成果の公表に努める。
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Causes of Carryover |
令和3年度に実施予定であったルワンダやその周辺地域での現地調査が、新型コロナウィルス感染症の世界的な流行による海外渡航の自粛で実施できなかったため。令和4年度に渡航が可能である場合には、現地調査の期間を増やして調査旅費として用いる。
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