2023 Fiscal Year Research-status Report
An anthropological study on care work and householding in urban India
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21K13170
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Research Institution | Eikei University of Hiroshima |
Principal Investigator |
田口 陽子 叡啓大学, ソーシャルシステムデザイン学部, 准教授 (00778251)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ケア / 家事 / 労働 / 経済 / 道徳 / 想像力 / ヒエラルキー / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ケア労働について、人類学やフェミニズムを中心とした先行研究のレビューを行った。また、8月~9月に約5週間、3月に約2週間、インド、マハーラーシュトラ州において聞き取りと参与観察を行った。 現地調査においては、昨年度に引き続き、家事がどのように関係を作りだしたり維持しているのか、またどのような関係によって家事が作りだされ維持されているのかという相互作用に注目した。とくに、2020年~2021年のCOVID-19流行期の前後の家事労働の変化について、聞き取りを行った。インドではCOVID-19パンデミック期にロックダウンが実施され、通いの家事労働者の仕事にも影響が生じた。パンデミック時の研究では、ロックダウンという特殊な状況において、普段は自明視されている雇用主と家事労働者の関係が前景化し揺さぶりがかけられたという議論もあったが、2022年と2023年に行った調査では、以前の関係が回復しているケースが多かった。これを受けて、雇用主と家事労働者の関係継続をめぐる語りと実践について検討を進めている。また今年度は、家事労働者と雇用主の家族関係にも調査範囲を広げた。これまでの調査ネットワークを利用して複数のミドルクラスの雇用主への聞き取りを行い、さらには住み込み家事労働者の実家を訪問したり元住み込み家事労働者の家庭に滞在し、家事労働者の生活についての民族誌的なデータを収集した。 これまでの研究成果を、日本文化人類学会、日本南アジア学会、東南アジア学会で発表し、関連分野の研究者との学術交流と意見交換を行った。また、日本文化人類学会誌『文化人類学』に論文を投稿し、査読を通して議論を精緻化した。さらに、フェミニスト人類学研究会への参加や、哲学者・人類学者・フェミニストSTS研究者であるアネマリー・モルの著作の共訳を通して、ケアと関係に関連する理論の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、文献研究とインドにおける現地調査を実施し、複数の口頭発表を行うとともに、成果を論文にまとめることができた。基本的には計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き文献研究を進めるとともに、インドにおけるフィールドワークを2回実施する予定である。現地調査においては、昨年度インタビューを行った家庭における参与観察を行い、より詳細なデータを収集することを目指す。また、関連する複数の共同研究会で研究内容を報告・共有し、学際的な議論を深める
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Research Products
(4 results)