2021 Fiscal Year Research-status Report
米国のメキシコ先住民移民同郷者会における「伝統知」を通じた他者との連帯
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21K13174
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
山越 英嗣 都留文科大学, 文学部, 准教授 (00843822)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メキシコ移民 / 先住民 / 家族的類似性 / 互酬性 / ロサンゼルス |
Outline of Annual Research Achievements |
4月にオンラインによるインタビュー調査を、ロサンゼルスのオアハカ移民ダンスグループ「ウアシャカック」の主催者に対して実施した。彼女たちのグループは、オアハカの複数地域のダンスを習得し、ORO(オアハカ地域組織)が主催するゲラゲッツァ祭等で披露してきた。今回のインタビューでは、ウアシャカックが実施してきたダンスの練習において、メンバーにはオアハカ移民だけでなく、近隣に居住する韓国系の住人も加していたことが明らかとなった。オアハカ移民も韓国系の人々も互いの言語を理解せず、かつ英語も堪能とは言えない。そのため、コミュニケーションには困難さが生じたと話していた。しかし、ウアシャカックの主催者は、韓国系の人びとに親しみを感じたと述べていた。これはたんに両者が米国でエスニックマイノリティに属しているためだけではないと考えられる。そうではなく、たとえば「年長者を敬うこと」などの点で自分たちとの類似性を見出していたからに他ならない。このことは、以前、OROのメンバーが話していたように、「オアハカ人」とは血統にもとづくものではなく、オアハカの文化を尊重する者のことであるという発言に通じる考え方である。このことからも、ゲラゲッツァ祭がオアハカ移民たちの紐帯を強化するためのものであり、閉鎖的・文化分離主義的な性質を帯びているわけではなく、他の民族との連携・連帯を模索する手段となっていることが明らかとなってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究遂行のためには米国での現地調査による聞き取りが必要不可欠であるが、昨今のコロナウィルス感染症の現地における流行は依然として高い水準にあり、渡航が難しい。そのため、当初予定していたような複数の関係者からのインタビューデータは得られていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現地では依然として新型コロナウィルス感染症の罹患者数が高い水準にあるだけでなく、現地ではマスクをしない者も多いとされる。私が基礎疾患(喘息)をもつため、今後も安全が確保されるまでは、オンラインでの調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究計画では、予算の大部分を米国での現地調査の旅費に充てる予定であった。しかしながら、新型コロナウィルス感染症の現地での流行により、申請者のみならずインタビューのインフォーマントにもリスクをもたらすことが予想されるため、断念せざるを得ない状況にある。その代わりにオンラインでのインタビュー調査を実施したが、ここでは費用はかからなかった。また、現地で購入予定の資料類の購入も今年度は断念し、次年度以降に実施することとした。次年度使用額が生じたのは以上の理由のためである。今後の使用計画としては、現段階では次の二点を考えている。第一に、感染リスクが軽減された際には現地調査を再開することを予定しており、その渡航費用や調査協力者への謝金に充てたい。第二に、これまでの調査結果をまとめ、英語またはスペイン語で論文を発表することを検討しており、そのさいの翻訳の費用に充てたい。
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Research Products
(3 results)