2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヘイトスピーチ規制の「承認論」による再構成の可能性とその限界
Project/Area Number |
21K13180
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
菅沼 博子 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (80866509)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヘイトスピーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの日本の憲法学におけるヘイトスピーチ研究は、アメリカ憲法学研究においては法哲学的・政治哲学的アプローチやヘイトスピーチ規制が存在しないアメリカの判例法理の検討にとどまり、ドイツ憲法学研究においては、ヘイトスピーチ規制の存在を前提として、連邦憲法裁判所の判例法理の検討にとどまりがちであった。そこで、本研究は、ヘイトスピーチの法規制が存在するドイツを検討対象国として、憲法哲学・刑法哲学的な分析手法が、どのように現実の規制に対して分析・批判を加えているかを明らかにすることを目的とするものである。 2021年度・2022年度においては、ドイツの刑法哲学によるヘイトスピーチ規制の考察に関する文献調査を中心に行ってきた。2023年度は、これまでの研究をふまえ、刑法哲学によるヘイトスピーチ規制の考察が、憲法学といかなる架橋の可能性を持つかという点に重点を置き、近時における日本の憲法学におけるヘイトスピーチ研究の動向をふまえつつ、研究課題についてのまとめを行った。研究課題のまとめについては、研究会において、「ヘイトスピーチ規制と『承認論』」と題する研究報告を行った(2024年1月。於:山梨大学)。この研究報告の内容は、2024年度に研究論文として公表予定である。 これに加え、本研究においては、ドイツにおける「感情の法益性」研究に着目してきた。この視座が、日本の憲法学におけるヘイトスピーチ研究だけではなく、憲法学全体にいかなる視座を提示しうるかという点について考察を行い、「憲法学は『法と感情』研究といかに向き合うべきか?」と題する研究報告を行った(2023年9月、憲法学方法論研究会。於:千葉大学)。
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[Book] 図録法学入門2024
Author(s)
堀口悟郎・斎藤一久編
Total Pages
146
Publisher
弘文堂
ISBN
978-4-335-35961-3