2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K13199
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稲谷 信行 広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 准教授 (10824279)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 管理職労働者 / 管理職員 / 解雇規制 / 業務執行役員 / 解雇制限法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、主として、ドイツにおける有限会社の業務執行役員への解雇規制の適用関係について、判例や文献の調査・検討を行った。具体的には、まず、解雇制限法や事業所組織法における適用除外規定の検討である。これらの適用除外規定は、労働者性の有無にかかわらず、法律の適用を除外する規定と解されている。その結果、有限会社法上の業務執行役員は、それぞれの法律による解雇保護を享受できないことになる。そのため、労働者性が認められる場合であっても、解雇保護が享受できないことの正当化根拠について検討を行った。また、集団的解雇規制については、EU法との衝突が生じており、この点も法適用において重要な問題となる。 次に、事業譲渡時の解雇規制や一般平等取扱法における解雇規制などの適用関係について検討を行った。これらの規定は上記のような適用除外規定を有していないため、あくまで「労働者」性によってその適用の有無が決定される。もっとも、その際の「労働者」の意義については、それぞれの規制ごとに異なっている。これは基礎にあるEU指令の規定の違いによるものであるが、その結果、業務執行役員への解雇規制の適用関係についても違いが生じることになる。 加えて、労働裁判所法における裁判管轄に関する適用除外規定についての検討も行った。同規定の適用要件をめぐっては、近時、連邦労働裁判所の判例が変更され、同規定の適用範囲が狭められた。その結果として、業務執行役員による連邦労働裁判所への出訴の可否は、基本的にはその労働者性の有無によって決まることになる。この点で、適用除外規定の意義が減殺されているということができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では、業務執行役員については解雇制限法と母性保護法の適用関係を主たる検討対象と考えていたが、文献調査の中で、より横断的・包括的に解雇規制の適用関係を検討する必要があると考えるに至り、事業譲渡に係る法制や一般平等取扱法、両親時間法制における解雇規制についても検討の対象を広げた。また、解雇規制の実現手段という観点から、連邦労働裁判所の裁判管轄についても検討の対象に加えている。これらの理由により、ドイツ法の文献調査に予定よりも時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、これまでのドイツ法の検討の成果をまとめ、論文として公表する。 加えて、日本法における会社役員への労働法上の規制の適用関係について検討を行う。
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Causes of Carryover |
オンラインでの研究会参加が増え、また、当初予定していた海外調査を取りやめたことにより、旅費の支出が抑制され次年度使用額が生じた。 次年度は、国内の学会や研究会に参加するための旅費として使用する予定である。また、ドイツ法のコンメンタールなどの書籍を購入するためにも使用する予定である。
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