2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K13203
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
呉 柏蒼 信州大学, 学術研究院社会科学系, 講師 (50895555)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 仮釈放 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、仮釈放手続における受刑者による主体的関与の可能性を明らかにして制度への提言を行うことを主な目的とし、台湾法を主な比較対象としている。令和4年度の実績として、研究の第1段階として予定した「従来の議論の再確認」で行った研究をまとめて発表し、そして、研究の第2段階として予定した「比較法的検討」の現地調査を行った。詳細は、以下のとおりである。 まず、前年度に行った文献調査を基礎にして、台湾の仮釈放制度の基本構造(刑法上の基本規定及び各省令に置かれている関連規定など)を分析し、その実質的・形式的・手続的要件、並びに許可基準(判断基準)や審査制度とその実施方法などについて、体系的に説明し検討する論文を執筆した。この論文は、令和4年9月号発行の信州大学経法論集第13号に掲載されている(査読付)。 また、本研究の第2段階で予定した比較研究のための現地調査は、令和3年度では、新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックによって断念を余儀なくされたが、令和4年度では、渡航や隔離など諸制限のまだある中で断行した。台湾の仮釈放制度をより多角的な視点で視るべく、主務官庁や実務現場のみならず、それに携わる実務家にも聞き取り調査を行った。台湾の法務省保護局、同矯正署、台北刑務所、犯罪被害者保護協会、弁護士会連合会、保護司会連合会等に対する訪問調査をした結果、研究内容の深化に資する情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始の初年度(令和3年度)は、予定した第1段階の計画は概ね遂行したものの、第2段階に予定した比較法的検討の現地考察の部分は、新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックが長引いたため、実施できなかった。令和4年度は、現地考察を再開し遂行したものの、最後の段階となる総合的検討は、前提となった計画のずれ込みの影響を受け、所属大学での業務との兼ね合いで、予定した研究の順序を調整せざるを得ず、期間の延長申請を行うことに至った。そのため、総合的に「やや遅れている」と評価した次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
延長年度となった令和5年度は、令和3年度と令和4年度で積み上げた調査研究の実績をまとめ、日本法への示唆を含めた研究内容を公表する。
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