2021 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Research on Remote Access Investigation into Cybercrime
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21K13208
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中村 真利子 中央大学, 国際情報学部, 准教授 (90826132)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リモートアクセス捜査 / サイバー犯罪 / 捜索・差押え |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2011年の刑事訴訟法改正により導入された「リモートアクセス捜査」について、その意義と限界を明らかにすることを目的とするものである。 2021年度は、まず、日本におけるリモートアクセス捜査の限界を明らかにするため、最高裁判所として初めてリモートアクセス捜査について判断した最決令和3年2月1日(刑集75巻2号123頁)の調査・研究を行った。その成果を韓仏法学会主催の国際会議において報告するとともに、討論者とディスカッションを行い、韓国におけるリモートアクセス捜査に関する知見を得た。特に、初年度に調査・研究を予定していた①差押え以外の場面におけるリモートアクセス捜査の是非に関して、日韓の裁判所の立場の相違点を明確に認識できた意義は大きいと思われる。この報告、ディスカッションの内容も含めた成果はHUFS Global Law Reviewに掲載した。 また、次年度に調査・研究を予定している②越境リモートアクセス捜査の是非に関しても取り組むことができた。リモートアクセス捜査を含む電磁的記録の差押えについて、その概要と課題を明らかにし、全南大学校法学研究所・韓国刑事法学会共同学術大会若手刑事法学者フォーラムにおいて報告するとともに、2名の討論者とディスカッションを行った。日本でリモートアクセス捜査が導入されるきっかけとなったサイバー犯罪条約について、日韓の態度を明らかにできただけではなく、日本の捜査手続における課題についても議論でき、大変有意義な機会となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に調査・研究を予定していた①差押え以外の場面におけるリモートアクセス捜査の是非に関しては、韓仏法学会主催の国際会議における報告、ディスカッションを通じて、日韓の裁判所の立場の相違点を明確にすることができた。さらに、韓国において従来の捜索・差押えの枠内でリモートアクセス捜査を認める根拠が、日本でどのように考えられるかについて検討する必要がある。 また、次年度に予定していた②越境リモートアクセス捜査の是非に関しても、調査・研究を開始した。全南大学校法学研究所・韓国刑事法学会共同学術大会若手刑事法学者フォーラムにおける報告、ディスカッションを通じて、サイバー犯罪条約に対する日韓の態度や、日本の捜査手続における課題について認識することができた。さらに、サイバー犯罪条約が改訂される見込みであることから、その動向を追うとともに、日本での対応についても検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に引き続き、①差押え以外の場面におけるリモートアクセス捜査の是非、②越境リモートアクセス捜査の是非について調査・研究を進める。特に、②越境リモートアクセス捜査の是非に関連して、サイバー犯罪条約は、国際協力の拡充とデータ開示の強化を目指す改訂がなされる見込みであることから、その内容を調査し、日本におけるリモートアクセス捜査にどのような影響があるか検討する。 これらの分析にあたっては、欧州評議会のウェブページを確認するほか、図書の購入、図書館及びオンラインデータベースにおける資料収集を行い、適宜、サイバー犯罪捜査に関する最新の知見を得るために、関連する国内外の学会又は研究会へ参加する予定である。その成果は中央大学の紀要に寄稿する。
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Research Products
(3 results)