2023 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Research on Remote Access Investigation into Cybercrime
Project/Area Number |
21K13208
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中村 真利子 中央大学, 国際情報学部, 准教授 (90826132)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リモートアクセス捜査 / サイバー犯罪 / データの押収 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2011年の刑事訴訟法改正により導入されたリモートアクセス捜査について、その意義と限界を明らかにすることを目的とするものである。この改正では、差押えの対象であるパソコンなどからネットワークを利用することにより、サーバにアクセスして遠隔で必要なデータを入手することが認められた。対象となるサーバは、必ずしも国内にあるとは限らないことから、本研究では主として、越境リモートアクセス捜査の是非について検討した。サイバー犯罪条約においては、利用者の同意を得て越境リモートアクセス捜査を実施する場合に、サーバの設置してある相手国の承諾なく越境リモートアクセス捜査できる旨規定されている。しかし、利用者が同意するとは限らず、この場合に、通常の差押えと同様に、強制的にリモートアクセス捜査を実施することが、相手国の主権侵害とならないかが議論されている。個人が不正アクセスなどすることなく利用しているサーバの領域に関しては、この部分に限って令状に基づきリモートアクセス捜査を実施することは主権を侵害しないと考えることも可能であるが、国際的な動向としては、提出命令の形式でプロバイダからデータを押収することが期待される。この方法によると、たとえデータのあるサーバが外国にあったとしても、プロバイダ自身がデータを入手して提出することから、相手国の主権を侵害しないと考えられているからである。今後、国内のプロバイダに対する提出命令に加えて、国外のプロバイダに直接働きかける方法が模索されることになると思われる。また、リモートアクセス捜査は、差押えに先立って実施することが想定されていることから、それ以外の場面、特に差押え後のリモートアクセスの処分の是非について検討する必要がある。その際には、令状呈示の相手方や、不服申立ての手段についても考慮しなければならず、この点については、引き続き研究を行う所存である。
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