2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K13221
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
小谷 昌子 神奈川大学, 法学部, 准教授 (80638916)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自由診療規制 / がんの非標準医療 / インチキ医療 / EBM |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、当初の予定とはやや異なるが、悪性腫瘍に対し非標準診療が実施された事案に関する裁判例の分析をもとに、悪性腫瘍に対するエビデンスに乏しい診療に対する法規制の必要性などにつき論じた「科学的根拠に乏しい診療に対する事前規制の必要性」神奈川法学55巻1号53-92頁を2022年秋に公表した。ここでは、本研究課題がその主たるテーマとして掲げる「医師が実施するエビデンスのない自由診療の問題点を明らかにする」こととともに、そのような自由診療に対する法的事前規制の必要性を述べた。 また、本研究にて取扱う問題に関連し、診療を実施する者がなぜ医師免許を有する者に限られるのかをはじめとし、医の実践に対してその安全性を担保するために日本がどのような法規制(とりわけ事前規制)をしているのかもあわせて検討している。この一環で「医事法学の立場から──あらためていま、医行為を問い直す」年報医事法学37号44-52頁も2022年秋に公表した。ここでは、カナダ・オンタリオ州における、医療専門職規制法(Regulated Health Professions Act, RHPA)を中心とするシステムに言及し、よりよい医療の安全性担保のための法制度について考察する必要性を論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響やその後の極端な円安という事情もあり、本来はアメリカもしくはカナダにて資料収集および調査を実施する予定を断念せざるを得なかった。とはいえ、日本における現状とその対策の必要性について論じることができたことにより研究自体は遅れながらも進められていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、日本における医療の安全性担保制度における自由診療の位置づけおよび医師がなすエビデンスに乏しい自由診療の問題につき、とりわけ悪性腫瘍に対する診療に着目して考察していく。本年度は、とりわけ、アメリカにおける同様の問題を参照しつつ、日本における法規制の在り方につき考えをまとめることを目標としたい。
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Causes of Carryover |
延期していた渡航調査を再度見送ったため。場合によっては本年度中にカナダへの調査出張に赴く予定。
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