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2022 Fiscal Year Research-status Report

A holistic analysis on the social function of IP dispute resolution

Research Project

Project/Area Number 21K13223
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

畑中 麻子  立命館大学, 法学部, 准教授 (80755497)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords知的財産 / イノベーション / 紛争解決
Outline of Annual Research Achievements

(1)「知的財産紛争に関する総合的研究」を課題とする本研究は、「イノベーションの促進において紛争解決が果たす役割は何か」という問いを立て、三つの論点を中枢に知的財産紛争が付託されるフォーラムを総合的に考察することを目的とする。二年目である2022年度は、研究課題としていた以下の二点について調査研究を進め、研究成果を発表する中で新たな課題の発見があった。
(2)まず、第一の論点である規範の公開と秘匿の相克に関して仔細な検討を行い、これまでのEU・フランス・イギリスについての研究成果を元に日本法の調査を進め、特に調停と和解について一定の成果を得るに至った。1997年の工業所有権法学会においてADR活用の理念が論じられ、また2001年以降に調査研究が複数公刊されて以来、日本においては知財紛争のADR法制度について十分な学術的肉付けがされていないことが明らかとなり、制度論および立法論の提言へむけた研究を進めた。
(3)続いて、第一の論点の派生的課題として経済学における紛争解決効率性に関する文献調査を促進した結果、法社会学の紛争理論に目を向けるに至った。紛争の社会的機能を巡る諸説(Simmel 1923; Coser 1956; Chiba 1980)を検証し、実定法の解釈論からは見えない新しい方法論の意義を見出し、先行研究調査を進めた。このことは同時に、第三の論点である知的財産紛争における専門法廷の機能についての考察に示唆を与えた。日本における法解釈論の議論、および近時の知財高裁機能論をめぐる先行研究を分析し、CJEUの裁判管轄及び裁判官の役割との比較研究への足がかりとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

(1)前述の通り、本研究の第一の論点については下記の通り国内外で成果を公開することができた。①知財紛争の一例として、近時問題となっている人工知能による機械学習を中心とした著作権法上の問題についてドイツ・ハンガリー・ポルトガル・米国・オーストラリア等の研究者との比較法研究を国際学会で報告した( ‘(In)flexible copyright limitations and exceptions for education and research in Japan’, Law and Society Association, 7th Global Meeting, Lisbon)。②日本法下の知財紛争調停研究の成果をまとめ、個別報告公募に応募し採択された(第19回仲裁ADR法学会予定)。③法社会学の見地から検証した初期段階の構想を国際学会の個別報告公募に応募し、採択された(第41回ATRIP世界大会予定)。また、第三の論点にも一定程度の進捗が見られる。
(2)並行して、国内外の多数の学会およびシンポジウムに参加し、定例の国内学会(著作権法学会・工業所有権法学会・仲裁ADR法学会等)及び国際学会(18th EPIP Conference・第40回ATRIP世界大会等)の他にも学術ネットワークを拡張し、特にEU 統一著作権法典制定へ向けた新たな枠組み「ReCreating Europe」創設メンバーとの研究交流からは新しい問題意識を得るに至り、非常に有意義であった。この他、海外での文献調査を再開し(ドイツ・マックスプランク イノベーション研究所)、比較法研究を促進することができた。
(3)総じて、研究計画前半の2年間で本研究が目的としている国際的な研究および成果の発表を実践できている。

Strategy for Future Research Activity

三年目である2023年度は、これまでの研究をより加速させて成果を発表すると同時に、可能な限り残された論点にも研究対象を拡充したい。他方、複数領域における複合的調査には相当な時間が要されることから、研究計画が極端に頓挫しないように調査量を調整する ことを心がける。
(1)①第一に、採択された学会報告を遂行し、論文として刊行する。和解についてはより実証的な調査が必要であることが判明したため、裁判所を含む紛争解決機構での研究調査やインタビューを実施する。必然的に民事訴訟法の領域へも足を踏み入れることとなるため、深入りしすぎることなく立法論や知財紛争と交錯する点を中心に文献調査を行う。②第二に、法社会学における紛争理論の現在地を探求するために引き続き西洋文献を中心に文献調査を進め、知財紛争にどのような視座を与えるのかについてより精緻な検証を続ける。先行研究SimmelおよびCoserに関する評価についての探求は研究課題に必要な程度に留めるよう心がけ、これまでに確認できていないフランス語文献にも調査を拡充したい。
(2)以上の計画を遂行するため、引き続き国内外の学会およびシンポジウムに参加し、研究課題および成果への客観的批評を検証しつつ、国際ネットワークの構築に努める。また、海外での文献調査も継続し、特にフランス語文献の精査を行う。
(3)最後に、まだ着手できていない第二の論点の文献調査を進めたい。単一デジタル市場における著作権欧州指令および経済協定を中心に国際協定上の知的財産紛争規定に関連した立法議論及び利用実態を調査し、課題に対するより国際的な検証を行うことを目標とする。

Causes of Carryover

旅費および人件費・謝金 において当初予定より執行額が下回った。長引く感染症水際対策により計画していた日本における国際シンポジウムの開催ができず、招聘者への旅費および謝金の支払いが生じなかったためである。また、国内での研究会等もオンラインで参加できるようになったため、旅費執行額を抑えられたことが二次的要因として挙げられる。
(使用計画)次年度については、感染症対策の影響によりこれまでの残額が比較的大きいことを踏まえて、文献調査の加速のために書籍等の物品費を拡充し、最大限効率的に使用する予定である。国内外の出張費は予定通り執行する見込みである。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] (In)flexible copyright limitations and exceptions for education and research in Japan2022

    • Author(s)
      Asako WECHS HATANAKA
    • Organizer
      Law and Society Association, 5th Global Meeting, ISCTE University Institute of Lisbon, Portugal
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2023-12-25  

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