2021 Fiscal Year Research-status Report
ロックの寛容論発展の背景―17世紀後半イングランドの寛容論争とホッブズに着目して
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21K13234
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
岡田 拓也 大東文化大学, 法学部, 講師 (20846646)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ホッブズ / ロック |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、ホッブズ『リヴァイアサン』における寛容を巡る議論を当時のピューリタン革命期の寛容論争の中に位置付ける研究において成果を出すことが出来た。数年来様々な学術誌に投稿し、査読者のコメントを基に修正するという作業を繰り返していたが、ようやく国際的な学術誌でアクセプトされるに至った。原稿を修正する中でテーマも徐々に変わっていった。元来はホッブズの議論を当時の急進的な寛容論者と結びつける論文を構想していた。だが最終的には、ホッブズと彼の同時代人ジェレミー・テイラーを中心に取り上げて比較検討し、その中で急進的な寛容論者にも言及するという論文になった。 本年度の主たる成果としては以上のものになるが、他にもこの論文を修正する過程で、国際的な学会で改めて研究発表を行った。また国内で公表されたホッブズ研究の単著について研究会でコメントをし、学術誌に書評を寄稿した。 以上のホッブズ研究の成果を基に、寛容を巡るロックの研究に移り始めた。現在のところは、1660年頃に執筆されたロックの初期の議論を、ピューリタン革命期の寛容論争の中に位置付ける研究論文を構想している。そのために、初期ロックの議論やピューリタン革命期に執筆された寛容論について改めて見直した。その過程で、既存の研究では初期ロックの議論は反寛容だと言われることが多いものの、実はロックの立場はピューリタン革命期の寛容論と両立することも多いのではないかという仮説が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数年来の懸案だった、ホッブズと寛容というテーマに関する論文原稿に関して、国際学術誌で公表できる段階に達したため。それにより、寛容を巡るロックの議論の研究に本格的に移ることが出来るようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1660年頃に執筆されたロックの初期の議論を、ピューリタン革命期の寛容論争の中に位置付ける研究論文を執筆し、学会発表し、国際学術誌で発表していきたい。続けて、1660年代後半に執筆されたロックの『寛容論』の研究に移りたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で国際学会がオンライン開催されたため、航空機代などがかからなかったため。今後はコロナ禍の様子を見て数年ぶりにイギリスで資料調査などを行いたい。
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