2022 Fiscal Year Research-status Report
The U.S. Dilemma as Technological Hegemony: Accepting Highly Skilled Foreign Workers and Regulating Technology Transfer
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21K13237
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
手塚 沙織 南山大学, 外国語学部, 講師 (90780239)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 安全保障 / 米中対立 / 高度人材 / 高度外国人材 / 技術移転 / 技術流出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2000年代以降、アメリカが高度外国人材の受入れを維持・拡大する一方で、高度外国人材を介した技術移転や流出を規制するため、利害関係者間でどのような交渉と調整がなされてきたのかを解明することである。その上で、技術覇権国の高度外国人材の国際移動に対する政策と技術覇権をめぐる国際関係の間で理論的検討を加えることである。高度外国人材の国際移動に関する先行研究が、1)政策実施後の実態調査や経済的貢献を示す実証研究が大半を占めること、2)オーストラリアやイギリスなど多数の国が採用するポイントシステムを用いておらず、アメリカにおいて国内政治が高度外国人材の受入政策の展開を決定すること、3)移民政策の領域内で留められる傾向にあったこと、これらの3点から、科学技術と安全保障の領域における高度外国人材をめぐる国内政治、それを踏まえた技術覇権をめぐる国際関係から研究を進める必要があるとした。研究計画では、コロナ禍の影響を極力受けないよう、初年度から二年度にかけては、先行研究の調査及び整理に加えて、データベースにて利害関係者の動向などを調査し、時系列に整理することとした。初年度に主に用いてきた政府機関などの無料データベースに加え、本年度(二年度)は、有料のデータベースを利用し、高度外国人材に対する受入政策の動向と米中対立の動きを調べ、時系列に整理し、分析した。その上で、量的データを組み合わせ、昨年度の研究発表で得たフィードバックも踏まえ、米中対立における高度外国人材に対する政策の変化を検証し、「米中間の高度人材をめぐる攻防と技術覇権の行方」(『CISTEC Journal』200, 2022年7月)で論考した。この論考で、研究目的に書いた「(3)科学技術と安全保障の領域における高度外国人材をめぐる国内政治」を、米中対立という国際関係の中で位置付け分析考察したことは来年度に向けた計画においても有意義である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年度も、初年度と同様にコロナ禍の影響を極力受けないよう、先行研究の収集と整理、データベースなどで資料収集とその分析を中心に進めた。本年度は、有料のデータベースを用い、初年度に行った資料などに新たなデータを加え、より一層内容が充実したものとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、国立公文書記録管理局や大統領図書館にて関連する資料とデータを収集し、整理及び検証を進めることである。
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Causes of Carryover |
本年度は、有料のデータベースの契約が当初の予定より遅れたため、使用額が当初予定と異なっている。
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