2021 Fiscal Year Research-status Report
Network Analysis of Political Consequences of Financial Globalization
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21K13242
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
土井 翔平 北海道大学, 法学研究科, 准教授 (30889134)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 国際関係 / 国際政治経済 / 株式ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は発生していることは分かっているが、その実態は依然として茫漠としているグローバル化という現象を分析することを目的としている。特に、国境を越えて、個人や企業、国家が複雑なネットワークを形成している金融ネットワークを解析することで、どのような経済的相互依存が起こっているのか、どのような政治的インパクトが起こり得るのかに答える。その際に、近年、利用可能となった金融ビッグデータを利活用することで、これまで明らかにされてこなかった微視的レベルの分析を実行する。 本年度は、研究の初期段階として、株式保有ネットワークの分析手法の開発と予備分析を行った。既に、最終株主の間接的影響力を評価する手法としてNetwork Power Indexを提案していたが、それを発展させる形で中間株主の寄与度を測るNetwork Power Flowを開発した。これにより、国家や金融機関といった巨大株主が、どのような中間株主を介してその影響力を有しているのかを明らかにすることができる。その結果、国家や一部の金融機関が大きな影響力を有しているが、国家が国有企業を有している場合と投資運用をしている場合を区別することができた。また、最終株主ではないが、様々な投資家から資金を集めて運用している機関投資家の存在も検出できた。 さらに、直接的な株保有だけでなく、ETFなどの投資信託といった間接的な株保有も台頭している現実を反映させるために、金融商品のデータと株式保有データを接合することで、金融商品を購入することでどのような企業に資金が流入しているのかも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Network Power Flowに関する研究を国内外の学会で報告し、現在は日本で特許を出願中であり、海外査読雑誌に投稿準備中である。また、金融商品を入り口として軍事企業や環境汚染企業への資金流入を明らかにした研究も国内外の学会で報告し、人工知能学会において全国大会優秀賞を受賞した。その後、Plos Oneに投稿し、受理されている。このように、研究の初期段階としての分析手法の開発および予備調査を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在の分析を進展させる形で間接的な影響力や資金の流入が時系列的にどのように変化をしてきたのかについて、とりわけ中国の台頭に焦点を当てつつ分析を行う。また、事例研究として例えば日銀のETF購入はどのような政治的効果があったのか、ロシア企業に影響力や資金を有する企業はどこにあるのかといった政策的に重要な問にも答えていきたい。さらに、サプライチェーンネットワークのデータとも接合することで、経済安全保障を実現する方策についても示唆を与えることを期待している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により予定していた出張を実行することができず、次年度使用額が生じた。本年度の研究成果を公表するための旅費や英文校閲費などに充当する予定である。
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Research Products
(7 results)