2021 Fiscal Year Research-status Report
イギリスと「ワシントン体制」 1918-1931年 ―帝国防衛と日英協調の連関―
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21K13247
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菅原 健志 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (00760266)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | イギリス外交 / 日英協調 / ワシントン体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、海外での史料調査が実施できなかった。そのためまずWoodward, E.L. and Butler, R. (eds.), Documents on British Foreign Policy 1919-1939, First Series, 27 vols.(London: HMSO, 1947-1986) などの公刊史料を中心に1920年代のイギリス外交に関する史料の分析に従事した。その結果、特に1920年代の日英協調について、イギリスの政策決定者が中国大陸のみならず、インドや東南アジア、太平洋地域におけるイギリス帝国の利益の防衛という観点から考慮していたことが明らかになった。これは日英協調の成否が中国大陸における日英両国の利害の一致または不一致という観点だけでは説明できないことを意味しているとも考えられ、この点をさらに精緻に立証するためにイギリスの政治家や外交官の未公刊の私文書に焦点を当てた史料調査の実施が必要になった。 その後、1920年代のイギリス外交と日英協調において重要な役割を果たしたイギリスの政治家であるオースティン・チェンバレンの私文書が慶應義塾大学三田メディアセンターにマイクロフィルムとして所蔵されているため、史料調査の計画を立てた。新型コロナウイルス感染症対策により学外への出張が制限されたためこの史料調査は実施できなかったものの、計画策定の過程で、オースティン・チェンバレンおよびその他のイギリスの政策決定者の対日政策に対する構想への理解を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、海外での史料調査が実施できなかった。そのためこのような事態に備えて計画していた、日本で入手可能な史料の調査を実行したものの、学外への出張が制限されたこともあり国内の図書館などでの史料調査を行うことは叶わなかった。制約の多い状況での研究となり、一定の研究成果を得ることはできたものの、学会などで発表するまでには至らず、研究はやや遅れていると評価せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の展望としては、新型コロナウイルス感染症対策の緩和により、海外での史料調査が可能になることが期待される。その場合、特にイギリスでの未公刊史料の収集と分析に努める。また国内学会および国際学会での研究成果の発表を積極的に行うとともに、論文や著書をできるだけ多く刊行して、研究成果の発信に注力する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主たる理由は、新型コロナウイルス感染症の影響により、海外および国内での史料調査が実施できなかったことにある。今後、新型コロナウイルス感染症の対策が緩和された場合には、翌年度分の助成金と合わせて海外および国内での史料調査、特にイギリスでの史料調査に使用する予定である。
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