2023 Fiscal Year Research-status Report
When People Become Patient: Cross-modal Intertemporal Decisions in Multiple Domains
Project/Area Number |
21K13257
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山本 翔平 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特任講師 (90895814)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 時間選好 / クロスモダル効果 / フロントエンドディレイ / 仕事に関する意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
同一のオブジェクト(例えば今日と2ヶ月後のテレビ)および異なるオブジェクト(今日のテレビと2ヶ月後の旅行)間の時間選好の比較における忍耐の差異を探求する研究は順調に進んでいる。先行研究は主に被験者間の実験デザインを用いてクロスモダル効果を確認していたが、本研究では被験者内デザインを採用し、日本人サンプルを用いたオンライン実験でこれを検証した。その結果、クロスモダル効果が観察され、特に金銭に関する時間選好においてアメリカ人サンプルに比べて有意に低い割引率が示された。また、フロントエンドディレイを導入した実験では、この遅延がクロスモダル効果に影響を与えることが明らかになり、効果の頑健性が確認された。 さらに、別の実験では、2種類の仕事を設定し、クロスモダル効果を仕事に関する意思決定でも検証したところ、同一の仕事に対する選択であっても全く割引率が観察されず、予想外の結果となった。そこで、時間選好ではなく、仕事の完了期限(24時間以内か1週間以内)に関する締切の選好に実験を変更したプリテストにおいては、クロスモダル効果が示唆された。 この興味深い発見は、Workshop on Theoretical and Experimental Economicsでの発表機会により、意思決定の専門家から多くのフィードバックを得ることができ、新たな研究アイデアを生み出した。 現在はプリテストで行ったインセンティブ付きの意思決定を取り入れた実験を行うために実験デザインをアップデートしている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記で要約したフロントエンドディレイと被験者内デザインでのクロスモダル効果を発見したプロジェクトは、2023年8月にSPUDMという世界で一番有名な意思決定の学会の一つで、Extended talkのスロットで発表し、共著者であるDaniel Readとは数年ぶりにこの学会で会い、貴重な議論を交わすことができた。現在、結果をまとめて論文を書いている最中である。 さらに、上記で触れた仕事に関する意思決定でのクロスモダル効果の実験は予想外の結果が出たものの、結果自体とても興味深く、完了期限をつかった全く新しい研究を思いつく糧となった。私たちの仕事に関する意思決定では締切日が重要な要素である。しかし、このプリテストの結果は、クロスモダル効果により締切の効果が弱くなっていることを示唆し、今後の頑健な実験デザインで行う本実験により、全く新たな知見と、実践的な示唆を明かすことができる潜在性があり、この論文も世界トップクラスの論文誌に掲載できる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、仕事に関する意思決定のクロスモダル効果の本実験を行う。また、そのクロスモダル効果がAttentional Dilution theoryによって起こっているのかを確かめるために、実験デザインを慎重に作成する必要がある。具体的には、他のMere deadline effectなどのほかのメカニズムで説明できてしまうようなデザインを避ける必要がある。また、本実験ではインセンティブを付けるので、実験プラットフォームで参加者が実際に仕事を完了しているかチェックし、完了している参加者のみに報酬を与えるデザインにするため、JavaScriptなど、複雑なコーディングが必要となる。 本実験を完了し分析が一通り終わったら、国際学会やワークショップなどで積極的に発表する予定であり、世界的な研究者から有用なフィードバックをもらいながらよりよい研究へとブラッシュアップし、世界トップクラスの論文誌に掲載できるよう執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
当初、実験デザインや、論文の英文校正などの業務のために、予定していたアシスタントの雇用は、生成AIの登場と、その精度の向上により、費用が大幅に少なくなった。しかし、円安が進んでいる影響もあり、海外の参加者を集める実験や、海外の学会に参加する費用は予想より大幅に増加しており、調整が必要になっている。 次年度はそういった背景もあり、高額化する学会参加の費用などに、アシスタントの雇用を中断して発生した金額を充てる予定である。
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