2023 Fiscal Year Research-status Report
屈折需要曲線の動学的展開によるマクロ経済理論の設計
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21K13262
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
村上 弘毅 中央大学, 経済学部, 准教授 (70803972)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マクロ経済学 / ケインズ経済学 / 景気循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5(2023)年度におけるこの研究の主要な成果は,査読を有する学術雑誌に採択された次の論文である。 Product life cycles, product innovation and firm growth, Annals of Operations Reseacrh この論文は,各製品(財及びサービス)が(導入期,成長期,成熟期及び衰退期からなる)ライフサイクルを有するということを前提としたうえで,企業の新製品の研究開発の合理的水準及びその結果生ずる企業の(売上及び利潤の)成長を理論的に分析することを目的とするものである。この論文で行われた分析は,その発明以後の時間の関数且つ有界な関数として表現される各製品の需要関数に基づいて,既に発明した製品及び将来新たに発明する製品のよってもたらされる利潤と新製品の発明の確率を決定する研究開発費の差の(期待値の)割引現在価値を最大にしようとする企業の最適な研究開発の水準を理論的に求め,かかる企業の売上の成長率が,時間の計画と共に新製品の発明の確率に収束することを示すものである。 これは,動学的見地から有効需要の原理に理論的基礎を与えようとするこの研究の目的に適合するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までのこの研究の成果は,動学的見地から有効需要の原理に理論的基礎を与えようとするこの研究の目的に適合するものである。 しかし,この成果は,屈折需要曲線に係るミクロ経済学的基礎に関して充分な考察を行ったものでなく,かかる考察は,この研究を完成させるために必要とされるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度においては,研究計画を実施し,特に,完全予見,合理的期待その他動学的見地に基づく合理性の基準と整合するように,屈折需要曲線の理論に基礎を与える研究を行う。
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Causes of Carryover |
令和5年度において,子の育児に従事したため,この研究計画を変更する必要が生じた。 令和6年度においては,令和5年度までに執行する予定であった助成金も使用する。
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