2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K13265
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Research Institution | Research Institute of Economy, Trade and Industry |
Principal Investigator |
荒田 禎之 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 研究員 (40756764)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 企業間ネットワーク / 景気変動 / グラニュラー仮説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、近年のマクロ経済学の理論研究で注目されている、ミクロショックが景気変動を引き起こす可能性(the micro origin of aggregation fluctuations)に関して研究を進め、企業規模のバラツキがミクロショック起因の景気変動の分散・テール確率にどのように影響を与えるかについて分析した。その理論的な研究成果を論文("The Role of Granularity in the Variance and Tail Probability of Aggregate Output")としてまとめ、さらに学術雑誌に投稿した(現在査読中である)。また、上記の研究に関連して、実際の日本の企業間取引ネットワークを分析して、理論モデルから予測されるミクロショック起因の景気変動の大きさがどの程度になるのかについての研究("The size of micro-originated aggregate fluctuations: an analysis of firm-level input-output data")及び需要ショックが企業間取引ネットワークを伝播する現象についての実証研究("Demand shock propagation through an input-output network in Japan")も進め、論文として公開する段階に至った。特に後者は、現在のコロナショックが、取引関係を通じて企業のサプライヤー側にどのように伝播していくのかに関する分析を含み、時宜を得た研究内容と考えている。これらの論文についても2022年度に学術雑誌に投稿することを予定している。 本年度も、まだコロナの影響のため、多くの学会についてはオンライン開催であるが、ミクロショック起因の景気変動の理論的研究を、日本経済学会の秋季大会及び国際学会(WEHIA)で発表した。来年度以降も引き続き、国内・国外の学会で発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
論文に関しては、理論的な研究論文を完成させ、かつ学術雑誌に投稿することができた(現在査読中)。また別の関連する研究論文を2つも完成させたので、当初の予定より進んでいる。 また、研究発表についても、オンラインながら学会に参加し、当初の予定通り、日本経済学会の秋季大会及び国際学会(WEHIA)で発表を行うことができた。以上の事から、当初の計画以上に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に論文として公開した2つの実証研究の論文について、改定を進め、学術雑誌に投稿することを予定している。また、これらの論文に関連する日本のみならず世界各国のデータを使った別の論文も研究を進めており、2022年度中に完成・投稿を計画している。さらに、企業成長のバラツキや成長のプロセスに関する研究についても現在取り組んでおり、これらの研究について、学会での発表・大学でのセミナー(Econometric society, Asian meeting・一橋大学など)を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初の予定していた学会への参加は行えたが、オンラインでの参加であり、渡航費が不要となった。また、海外の大学(スイス)への渡航も考えていたが、コロナに関連する制限で難しく、そのために剰余が生じている。 2022年度については、オンライン参加のみならず、学会・大学セミナーなどに直接の参加することも予定しているため、それに関する費用を請求している。
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Research Products
(4 results)