2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K13269
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
澤田 真行 一橋大学, 経済研究所, 講師 (70861011)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 因果推論 / 識別仮定 / 部分識別 / 回帰不連続デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は因果推論に必要な仮定の検定と、仮定の妥当性が担保されない場合における代替的推定手法を分析する。なかでも、回帰不連続デザインと呼ばれる手法 に注目して研究を行っている。 令和4年度は、研究課題1.(密度の連続性条件と回帰不連続デザインの点識別条件の関係性を明らかにする)の解決となる論文(研究協力者:石原卓弥氏との共著)の投稿準備が進み、令和3年度に着手した仮定の妥当性検定の多重検定に対処した同時検定の提唱論文(研究協力者:石原卓弥・伏島光毅両氏との共著)をプレプリントとして公開することができた。いずれの論文も令和5年度初頭に投稿予定である。加えて、本研究の最終目的の一つである統計ソフトウェアパッケージについても、Rパッケージ"rdtest"を同じく令和5年度初頭に公開予定である。令和4年度はさらに、研究課題2.(部分識別推定)及び研究課題3.(検定と部分識別の統合)の探索的分析を進展させつつ、研究課題4.(離散割当変数への一般化)の検討をおこなった。それらの検討を行う上で、回帰不連続デザインの推定において実証分析者が直面する以下の二課題の着想を得て、一定の成果を得ることができた。第一に、割当変数が複数ある場合、従来の一次元化手法が漸近正規性に必要な仮定と矛盾することに着目し、新たに示した局所線形回帰の多次元拡張に基づく推定量を提案し、その数値的性質を示すことができた(研究協力者:石原卓弥氏、栗栖大輔氏、松田安昌氏との共著)。第二に、従属変数が二値であるときには残渣分布が有限標本で既知となることに着目し、その場合の有限標本推定量を提案し、その数値的性質を示すことができた(研究協力者:石原卓弥氏、 矢田 紘平氏との共著)。いずれも令和4年度に口頭報告に至っており、令和5年度中の投稿を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的のうち、令和4年度までに達成すると計画している研究課題1.について、検定と点識別仮定の関係性についての論文と、多重検定を考慮した検定手法の提案論文は、いずれも令和5年度初旬には投稿予定であり、おおむね予定通りの進展である。 特に、令和3年度実績報告書において、令和4年度に行う予定であった多重検定を考慮した検定手法の提案論文の公開は予定通り行われた。合わせて予定していた統計ソフトのパッケージ開発についても、Rパケージ、rdtestを令和5年度初頭に公開予定であり、順調である。 令和5・6年度までに達成を予定する研究課題2.(部分識別推定)および研究課題3.(検定と部分識別の統合)についても課題検討が進む一方、新たに着目した関連する研究課題についても口頭報告段階まで進展しており、順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度初頭に、研究課題1.の課題に関わる二論文を英文査読付き雑誌へ投稿し、あわせて統計ソフトのRパッケージを初版公開する。引き続き、研究課題2.(部分識別推定)および研究課題3.(検定と部分識別の統合)の検討を行い、新たに着目した関連する研究課題についても令和5年度中に論文としてまとめ、投稿を目指す。
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Research Products
(7 results)