2021 Fiscal Year Research-status Report
クロスセクション間の相関や異質性を考慮した構造変化分析手法の構築
Project/Area Number |
21K13272
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 大輔 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (40802228)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 構造変化 / 時系列 / パネルデータ / トレンド |
Outline of Annual Research Achievements |
[1] (時系列モデルにおけるトレンドの構造変化に関する研究・その1)時系列データにおけるトレンドの構造変化の数を推定する方法として、先行研究では検定を逐次的に繰り返す方法が提案されている(Kejriwal and Perron, 2010)。ここでの逐次検定を行う際に、構造変化点を推定することが必要となるが、トレンドの構造変化の場合は、想定された構造変化の数が実際の数よりも少ないときには、構造変化点比率の一致推定が出来ないことが先行研究で指摘されている(Yang, 2017)。そこで本研究では、このような場合においても構造変化点比率を一致推定できる方法を提案し、ここでの逐次検定に応用した。本研究で提案した手法は、既存のものよりも優れた有限標本特性を持つことが確認できた。
[2] (携帯電話普及率の構造変化点分析に関する実証研究)時系列データ・パネルデータのトレンドの構造変化に関する実証研究として、世界各国・地域の携帯電話普及率の加速がいつから始まったか、構造変化点分析の手法を用いて分析を行った。この結果、最も早く普及率が加速した先進各国に続いて、BRICS、移行経済圏、ASEAN、アフリカ諸国が構造変化点を迎えたことが明らかとなった。
[3] (時系列モデルにおけるトレンドの構造変化に関する研究・その2)[2]の実証研究において、トレンドの構造変化点の区間推定を行うことを検討した際に、既存の統計理論に不十分な点があることが判明した。そこで本研究では、既存の統計理論を再考察した上で、新たな理論的結果を導出した。この結果、構造変化点比率の推定量などの漸近分布は、構造変化の大きさのオーダーに依存することが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマ[2]の実証分析を行う中で、当初は想定していなかった課題が浮かび上がったが、この課題に対する解決策を導くことが出来たため、新たな研究成果をあげることができた(研究テーマ[3])。一方で、当初計画していたパネルデータの構造変化に関する理論研究については、本年度中に仕上げることは出来ず、来年度以降も継続して取り組むことになった。以上のことから、おおむね順調に研究が進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた研究成果を基にして、来年度はパネルデータモデルにおける構造変化分析の理論に関する研究を進めていくことを計画している。また、これと並行してマクロ経済データを用いた実証分析も行っていく。
|