2022 Fiscal Year Research-status Report
Social Learning of Risk for COVID-19 Infection
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21K13276
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 正弘 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (60622214)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的学習 / 学習 / 消費者行動 / ビッグデータ / COVID-19 / 製品安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、COVID-19の感染リスクに関する認識形成等を例として取り上げ、観測対象やそれに基づく認識の多様性が、社会的学習にどのような影響を与えるかを実証的に明らかにする。 令和4年度は、主に次の2点について研究作業を進めた。第一に、感染拡大初期におけるマスクの購買行動を例として、危機時においてメディアの情報が人々の購買行動にどのような影響を与えるのかを検証した。具体的には、日本各地域の新聞記事データと感染拡大1年前からの購買行動のスキャンパネルデータを用いて、ロジット回帰により、経験や情報や個人属性などの各変数のマスク購入確率への寄与を推定した。その結果、拡大最初期においては過去の経験が購入確率を高めること、続く期間では新規情報量が購入確率を高めることなどがわかった。成果の一部は、令和4年にディスカッション・ペーパーとして公表したほか、さらに改良を加えた内容を学術雑誌に投稿することを予定している。 第二に、製品安全リスクの認識形成を例として、不正確で断片的な伝達の仕組み(インフォーマルな学習の仕組み)が、私的情報を社会全体に拡散させる上でどのような役割を果たすのかを検証した。具体的には、製品事故が起こった後に、商品の売れゆきの観測というインフォーマルな機会を通じて、消費者が事故の再発確率を学習するプロセスをベイズ学習モデルで記述した上で、購買行動のスキャンパネルデータを用いて個人の学習パラメータの推定を行った。その結果、製品の購入の再開の有無とその時期について、インフォーマルな仕組みがもたらす情報への感応度(社会的学習の強度)の違いが大きな影響を与える一方で、フォーマルな仕組み(新聞などマスメディア)から蓄積した印象を忘却する度合いはあまり影響しないことが明らかになった。当該トピックについては、現在、論文の執筆を進めており、令和5年度に学術誌等に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1つ目の研究トピックについては、ディスカッション・ペーパーの形ではあるが論文の公表を行った。2つ目のトピックについても既に検証結果は得られ、現在、成果を取りまとめた論文の執筆を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、上述の2つの研究について成果を取りまとめた論文の執筆を進めており、令和4年度に学術誌等に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、国内外の学会等の一部がオンラインで開催または延期・中止となったため、旅費の支出が計画通りに行われていない。次年度は、これらの旅費を執行するとともに、シミュレーションの効率的な実施のため、独自サーバーの設置を含む演算能力の向上を検討。
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