2021 Fiscal Year Research-status Report
Structural Decomposition and Visualization of Global Supply-Chain for Climate Mitigation
Project/Area Number |
21K13277
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
時任 翔平 山形大学, 人文社会科学部, 講師 (90868142)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 産業連関分析 / ネットワーク分析 / グローバルサプライチェーン / 国際貿易 / 二酸化炭素排出 / グローバルバリューチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
サプライチェーンが国際化した今、自国だけでの環境負荷低減だけでなく、その原料の採掘から廃棄までの全体の生産プロセスにおける環境負荷を削減することが重要である。そのためには、下流(自動車産業等)から中流(金属加工等)を通して上流(鉱業等)までの各産業が連携する必要があるが、複雑化したグローバルサプライチェーンにおいて焦点を当てるべき産業を見つけるのは困難である。本研究は、国際産業連関分析とネットワーク分析を用いて、新しい分析フレームワークを開発し、どの産業のどの工程にどのようなアプローチを通して環境負荷を削減すべきか、という非常に具体的な政策アプローチを提言する。 当該年度においては主要な分析フレームワークの開発と拡張を行った。グローバルサプライチェーンを通した二酸化炭素排出量を上流・中流・下流の産業・産業間取引に割り当て、それぞれの位置において重要となる産業・産業間取引を抽出し、可視化と政策提言を行った。また、時系列分析に拡張し、各産業・産業間取引のグローバルサプライチェーンにおける重要度の変化、そしてその変化がどのような要因によるものなのか明らかにする分析フレームワークを開発し分析を行っている。 更に本研究では各産業の環境負荷だけでなく、付加価値生産についても考慮する。政策の実現性のため環境負荷を下げるだけではなく、如何に貿易を通して国内付加価値を高めていくか包括的な分析フレームワークの構築を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた分析フレームワークは既に構築済みであり、成果の一部はオンラインでの国際学会を含めた3度の学会発表を行い、査読付き国際誌に投稿中である。また、研究を行う中で付加価値分析まで含めて考察する必要が出てきたが、データの整備や新しい分析フレームワークの構築についても見通しが立っており進捗状況は概ね順調であると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、すでに多くの研究蓄積のあるグローバルバリューチェーン分析の各手法を用いて分析し、昨年までの結果と組み合わせ、考察を発展させる。また、グローバルバリューチェーン分析自体も発展させ、グローバル化を通して効率化され高付加価値化がどの産業で進んでいるのか、その一方でどの国に環境負荷が移転しているのか、産業連関型のネットワーク分析と時系列分析におけるこれまで蓄積した知見を用いた包括的な分析フレームワークの完成を目指す。また、可能な限り最新のデータを集める。加えて時系列分析・要因分解の分解方法を再度吟味し、パンデミックが引き起こしたサプライチェーンの構造変化とその経済的な効果・環境についての効果を明らかにする。 最後に、最新の政策や社会情勢、制度、貿易協定に適応させる形でどのようなサプライチェーン・バリューチェーン構築を通して持続可能な開発を達成すべきか議論する。
|
Research Products
(8 results)