2022 Fiscal Year Research-status Report
Empirical analysis on relationships between misinformation and disinformation in cyberspaces and socioeconomic situations
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21K13278
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澁谷 遊野 東京大学, 空間情報科学研究センター, 准教授 (20847917)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ソーシャルメディア / 誤情報 / 偽情報 / SNS / フェイクニュース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,これまで主に理論面から論じられてきたメディア・バイアスやその応用理論を基盤として,サイバー空間の言説と社会経済状況との動的な関係性を大規模データを用いて実証的分析するものである。実社会とサイバー空間の相互のつながりがかつてなく深まり,変容している社会経済構造をどのように分解し捉えられるのかを,サイバー言説に着目して検討を行う。特に,社会経済的な影響が指摘されている偽情報や誤情報等を中心としたサイバー言説をめぐる社会課題に対して,どのような対応が考えうるのかなど,政策検討の基礎的な資料提供を行うことを目指す。
この目的に従い,2022年度は,3つの研究をおこなった。第一に,国内のFacebookにおけるCOVID-19に関連する偽情報・誤情報を事例に,サイバー言説の特徴等の分析を行った(澁谷, 2022)。特にCOVID-19関連の偽情報・誤情報の発信者側に主な焦点を当てて、言説の発信の動機や拡散の背景を明らかにすることを試みた。第二に,コロナ禍初期に各国で見られたマスクのパニック購買行動に焦点を当て、マスクに関する情報受容者の行動変容を台湾を事例に実証分析を行った(Shibuya et al, 2022)。マスクの在庫情報をオープンデータとして公開することで、市民の購買行動にどのような変化が見られたかを分析した。第三に,サイバー言説受容側のソーシャルメディアユーザーに焦点を当てた実証分析を行った。ソーシャルメディアユーザーを対象に偽情報・誤情報の受容等に関する調査を行い、個々人の社会経済的背景やその他特性等と偽情報・誤情報との関連性を分析した。具体的な研究については「進捗状況」に後述する。また,これまでの成果を基に国内外の関連研究に取り組む研究者との意見交換やワークショップを行うことにより結果の解釈や,政策的示唆に関する幅広いフィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するために,2022年度は大まかに分けて3つの研究をおこなった。第一に,COVID-19関連のFacebook上での偽情報・誤情報をケースとした記述的な分析では,国内の偽情報・誤情報ではどのようなアクターが偽情報・誤情報の生成流通に寄与しているのかを明らかにした(澁谷, 2022)。第二に,コロナ禍でのマスクのパニック購買行動に関する情報受容者の行動変容に関して台湾を事例に実証分析を行った(Shibuya et al, 2022)。第三に,サイバー言説受容側のソーシャルメディアユーザーに焦点を当てた実証分析を行った。ソーシャルメディアユーザーを対象に偽情報・誤情報の受容に関する調査を行い、個々人の社会経済的背景やその他特性等と偽情報・誤情報との関連性を分析した。この分析により,サイバー言説の需要メカニズムをより精緻に捉え,偽情報・誤情報への需要と受容に関するモデル構築を目指した。これら分析の成果については論文にまとめ発表予定。 さらに、これまでの研究成果等に基づき国内外の関連研究に取り組む研究者と意見交換及びワークショップ等を実施し、研究デザインの見直しに反映させた。 以上の進捗状況から,プロジェクト全体が概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するため,今後は以下の2つの観点から分析を進める。第一に,サイバー空間の言説の受容側であるソーシャルメディアユーザーに関する調査結果をまとめて考察を行う。成果は論文等で発表する。 第二に,構築モデルに基づき実際の偽情報・誤情報等の事例を対象に分析を行う。ここでは偽情報・誤情報等の受容側に主な焦点を当てて構築モデルの評価を行う。なお,研究成果や進捗については,引き続き国内外の関連研究を行う研究者等と積極的に意見交換や共同研究等を行い,結果の解釈や,政策的示唆に関する幅広いフィードバックを得る。
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Causes of Carryover |
謝金支払い予定だったデータ分析作業が次年度にずれ込んだため。次年度でデータ分析に関する研究補助作業の謝金として使用予定。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] How to Do Things with "Values": A Cross-Linguistic Analysis of the Meanings and Functions of a Core Concept on Twitter.2022
Author(s)
Avishai Green, Yuya Shibuya, Tommaso Trillo, Saki Mizoroki, Rebecca Scharlach, Blake Hallinan, Tim Park, Effi Levi, Elad Segev, Shaul Shenhav, and Limor Shifman
Organizer
AoIR
Int'l Joint Research
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