2021 Fiscal Year Research-status Report
Institutional Design of Multilateral Agreements for Promoting Environmental Innovation
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21K13291
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
梶田 知沙 福岡女子大学, 国際文理学部, 講師 (90756503)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境技術協定 / 国際環境協定 / 応用ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】 研究計画初年度である令和3年度は,技術採択便益のスピルオーバーが環境技術協定の実効性に与える影響を検討した.具体的には,数理モデルの構築と解析解の導出,そして経済学的インプリケーションの考察を行った.さらに,既存モデルとは正反対の分析結果を得たため,その結果の違いが生じた根本的な原因を明らかにするための追加の分析および考察に非常に多くの時間を割いた.そして,上記で得られた研究成果を,1つの論文として取り纏めた.
【意義・重要性】 本研究の最終目標は,環境イノベーションを妨げる現実的要因(1.技術採択便益のスピルオーバー;2.技術採択便益の不確実性;3.国の非対称性:先進国と途上国)が環境技術協定に与える影響を考慮したうえで,より適切な協定枠組みを提案することである.京都議定書型の排出削減協定の加盟インセンティブを高めるためのひとつの方法は,環境イノベーションによって排出削減費用を引き下げること考えられているが,既存研究が提案した環境技術協定が現実に導入された場合,環境イノベーションが十分に達成されないことが懸念される.なぜなら,これらの既存研究では環境イノベーションを妨げる現実的要因の影響が十分に考慮されていないからである.令和3年度は,(1)技術採択便益のスピルーバーが環境技術協定に与える影響を明らかにした,(2)既存モデルの分析結果に対して追加的な知見を与えたという2つの点で,一定の成果をあげることができたと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデルの構築・分析を一通り終了し,これらの研究成果を論文として取り纏めることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,令和3年度に執筆した論文を査読付き国際学術雑誌に投稿することを予定している.さらに,新たな数理モデルの構築および分析に取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
次年度以降,国際・国内学会への参加を(当初の予定以上に)増やすことを予定しており,そのために今年度は支出を控えたため.
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