2023 Fiscal Year Research-status Report
EU共同債による景気循環の同期性への影響と最適通貨圏「メタ条件」の充足
Project/Area Number |
21K13292
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
中尾 将人 千葉商科大学, 商経学部, 准教授 (90823774)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 共同債 / ユーロ / 最適通貨圏 / 景気循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,(1) メタ条件の観点から共同債が景気循環に与える影響を明らかにすること,(2) 共同債を中心としたマクロ経済政策が景気循環に与える影響を明らかにすること,である。これらを目的とする理由は, 共同債の導入が将来の財政同盟への一歩となる可能性があり,財政同盟は最適通貨圏となるための重要な条件であることから,通貨同盟圏経済にとって重要な出来事となるためである。この目的を達成するために,本研究では,共同債の導入をケインジアンマクロ動学モデルに組み込み,景気循環の安定性分析を行う。景気循環の安定化による均衡点での同期性の達成により,最適通貨圏メタ条件を満たすものとして考 え,共同債と最適通貨圏理論メタ条件をケインジアンマクロ動学によって結合する。 本年度はメタ条件との関連において,経済の開放度との関連についても注目し,分析を試みた。その成果の一部は2023年12月のケインズ学会にて報告した。報告では固定相場制において経済の開放度が景気循環に与える影響について分析し,経済の開放度が高い場合には景気循環が安定化する一方で,資本の移動の度合いが高い場合は景気循環が不安定となることを示した。また,それに合わせて変動相場制における分析も合わせて行い,固定相場制との違いについて分析した。 この経済の開放度に関する分析と合わせて,共同債の発行とそれによる経済政策が景気循環に与える影響について,今後さらに分析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内業務による研究時間の減少と,モデル構築の遅れによる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,共同債を導入した場合の景気循環分析を中心に研究を進める。
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Causes of Carryover |
国外の学会に現地参加することができなかったため,それに関する資金が未使用となった。 次年度は国内外の学会・研究会に参加する予定であるため,それに使用する。
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