2021 Fiscal Year Research-status Report
Economic Analysis of Liability System for Aritificial Intelligence
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21K13301
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
生田 祐介 大阪産業大学, 経営学部, 講師 (70801489)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 個人情報 / 損害賠償責任 / 人工知能 / 独占市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,自動運転車のように人工知能で作動する製品(以下,AI製品)の開発や普及が,損害賠償責任ルールとプライバシー規制によってどのような影響を受けるのか,経済理論モデルから明らかにしようとするものである. 損害賠償責任ルールは,財・サービスの利用者が被る損害に対して供給者がどの程度の賠償責任を負うのか定めるものであり,その責任が大きいほど供給者にとって損害負担が大きいことになる.このルールは,供給者が損害を抑えようとする投資インセンティヴに作用する. プライバシー規制は,個人情報の開示程度を定めるものである.その規制が強いほど個人情報の透明度が薄れて経済的な利用価値は低下するが,逆に規制が緩いほどその利用価値は高まると考えられる.このルールは,個人情報の提供インセンティヴと収益化の程度に作用する. 令和3年度は,独占企業がAI製品を供給するという設定の下,上記二つの制度的特徴を同時にモデルに反映することで,製品普及のためには,制度間の関係性が代替的か補完的な非線形的かを明らかにできないかと研究に注力した.しかし,モデルが複雑になり,関数が一般形と具体形のいずれの場合でも,明瞭な解析結果を得ることが困難になった.そこで,二つの制度を分けて,個別の研究で発展させる可能性を探った.その結果,プライバシー規制の役割に注目してAI製品の市場分析を行う場合,寡占市場における企業数の変化や,垂直的取引関係にある企業の存在を考慮するなど,発展させる余地が残っていることが分かった.そうした知見を踏まて,随時モデルの修正を試みた. また,本研究は,人工知能を利用したビジネスモデルを対象としている.調査段階で得られた人工知能(機械学習)に関する知見を実践するために,テキストアナリティクスを利用した景気動向指数の開発も行った.その成果を論文にまとめ,英文と和文の査読誌に投稿して,採択された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一に,研究実施計画に記載した内容での研究成果は,また論文として完成していない.その理由は,二つの制度的特徴を同時にモデルに反映した分析が予想以上に困難となり,検討する問題と対応するモデルを修正するために,先行研究の再調査に時間を要したからである. 第二に,調査過程で得られた知見を活かした副次的な研究成果をまとめた論文が,国内と国際的な査読雑誌に掲載された. 以上の2点の状況を踏まえて,進捗状況は「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に記載した通り,プライバシー規制と損害賠償責任という2つの制度的特徴を反映した市場の研究という観点からは,今後の方針に大きな変更はない.令和4年度は,各制度を別個に扱ったモデルで,AI製品の市場分析を行う.具体的に,寡占市場や垂直的取引などを考慮したモデルへと関連する研究を発展させ,その成果を論文として完成させることを目指す.
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Causes of Carryover |
研究実施計画に記載した研究内容を,論文にまとめることができず,英文校閲が掛からなかった.国内外の学会はオンライン開催が多く,学会参加にともなう旅費が発生しなかった.先行研究調査のためディスカッションペーパーなど,無料の出版前論文を優先して読んだ結果,高額な専門書を購入する機会が減り,図書費が研究実施計画と比べて多く発生しなかった.次年度の使用計画として,完成した論文の英文校閲費や投稿料,国内外の学会における研究報告のための旅費,,計算負荷が大きくなる場合に備えてコンピュータの更新などに使用する予定である.
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