2021 Fiscal Year Research-status Report
少子高齢化と経済成長-産業構造変化と教育投資をめぐって-
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21K13304
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
廣野 誠 徳島文理大学, 総合政策学部, 講師 (30885588)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 少子高齢化 / 経済成長 / 世代重複モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、主に以下について研究を進めた。 (1)高齢化による老年世代の労働参加と資本蓄積の関係 新古典派成長モデルに高齢者の労働参加と政府の社会保障政策を導入し、高齢化による引退世代の労働参加と長期的な資本蓄積の関係を分析した。引退世代は労働効率において異質性があり、労働所得が完全退職の場合の年金受給を上回れば、働き続けることを想定している。まず、高齢者の退職か労働継続かの意思決定をする上で重要な要因を検証し、次に、高齢者の労働参加が資本蓄積と所得分配に与える長期的な影響を、理論的に分析し、数値計算を行った。研究結果は、"Pension Reforms, Population Aging, and Retirement Decision of the Elderly in a Neoclassical Growth Model"(Makoto Hirono, Kazuo Mino)でまとめ、査読付き国際誌Macroeconomic Dynamicsに掲載された。 (2)縦割り行政の下での教育政策と医療政策の厚生効果 政府が公的に提供される教育や医療を決定する税率を選択する世代重複モデルを構築した。教育政策は人的資本の蓄積を増加させ、医療政策は健康を改善させ平均寿命を延ばす効果がある。教育部門と医療部門の2つの政府部門が、個人の厚生を最大にする教育・医療税率を協力的に決定する。その理論分析の結果、良い均衡(高い教育と高い医療)と悪い均衡(低い教育と低い医療)が存在することを明らかにした。"Population Aging, Human Capital Accumulation, and Vertically Structured Government Policies: Welfare Analysis"としてまとめてある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年は本プロジェクトの初年度であったが、おおむね当初の計画通り進んでいる。ただし、2021年度の中心的な研究実績としてあげた論文のうち一つは、近日中の投稿を目指して改訂中であり、2021年度中に査読誌に掲載ないしは掲載予定になるまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度には、2022年度の研究を引き続き実施する。2021年度の中心的な研究実績のうち、掲載に至らなかった研究論文に関しては、早期に分析を改定し結果まとめ、査読付き国際誌に投稿する。また、掲載に至った研究論文に関しては、2期間モデルを多期間モデルに応用し実証データと整合的な数値計算を用いた分析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによって学会・研究会がオンライン開催になったため当初計画していた多くの旅費への支出を繰り越した。
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Research Products
(1 results)