2023 Fiscal Year Research-status Report
設備投資補助政策の企業ネットワークを通じた波及効果の検証
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21K13312
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Research Institution | Research Institute of Economy, Trade and Industry |
Principal Investigator |
小泉 秀人 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 研究員 (80877019)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 波及効果 / 税制 |
Outline of Annual Research Achievements |
特別償却制度は我が国でも特に中小企業に対して頻繁に行われる政策であるが、その効果がどのようにサプライチェーンなどの企業ネットワークを通じて波及するか調べた研究は、国内外を含めて存在しない。2023年度(令和5年度)は帝国データバンクの企業取引データを用いて波及効果を実証分析し、ワーキングペーパーに仕上げた。学会発表は最大国際経済学会である Econometric Societyが主催する地域学会である、North American Summer Meeting 2023, Asian Meeting of Econometric Society 2023, European Meeting of Econometric Society / EEA 2023で発表した。海外の研究者からのフィードバックを得ることができたと同時に、研究成果の海外発信ができたものと考える。本研究の発見として、中小企業を対象とした政策でも、サプライチェーンを通じて最も恩恵を受けるのが実は大企業になる可能性がある。政策の波及効果を直接のサプライヤーだけが享受していたが、これらのサプライヤーは大企業が多く、波及効果が直接効果よりも大きくなる可能性が示唆される研究結果となったため、中小企業向けの政策であっても、実は大企業が政策効果を吸収してしまっている可能性がこの研究からわかった。令和6年度以降は、論文掲載に向けて追加分析を重ねていく方針である。また、理論的支柱となる論文を書いていたが、この論文が位置する文献においては貢献度が少ない内容となり、周りのフィードバックなども鑑みて、本論文には理論モデルは載せず、別の設定でスピンオフ論文としてhumanities and social science communicationsに投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナによる作業遅延に加え、予定していた帝国データバンクと政府統計の接合ができず、別の方法で分析を考える必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
論文投稿、ジャーナルからのフィードバックや追加分析依頼などを含めて論文の売り方を検討し、分析を進める。
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Causes of Carryover |
帝国データバンクデータと政府統計を接合することをアドミン的理由で断念せざるを得なかったため、オンサイトで働いてもらうRAを雇う予定が中止になったため。
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