2022 Fiscal Year Research-status Report
医療施設配置の決定要因分析と評価-投票システムの応用可能性-
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21K13317
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
栗原 崇 東海大学, 政治経済学部, 特任講師 (40844543)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 医療施設 / 施設配置問題 / 投票システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の分析に使用するデータは新規に建てられた医療施設の配置に関するものであり、基本的に分析するに値するサンプル数を確保することが難しい。そのため、2022年度は前年度に引き続き、データの収集とクリーニングを行っている。したがって、有料データである『Geo Suite道路網2020全国版』(Esri社;80万円)の購入と無料公開されているデータの収集、それらの突合作業を主に行った。付随して行う実証研究については、進捗状況にて記述する。 上記に加え、本研究課題の肝となる理論パート(投票システムを医療施設配置に適用するための方法)の拡張版として、熟議を通した選好順序のアップデートを尊重するような社会的選択ルールに関する研究を並行して行っていた。 Tsuyoshi Adachi, Hun Chung, Takashi Kurihara, 2023. (The Impossibility of) Deliberation-Consistent Social Choice. American Journal of Political Science, Forthcoming. さらに、同じ候補地を共有する複数の新設された医療施設がある場合、「複数の候補地を選択」する必要があり、集合のランキングに関する基礎研究を用いることになる。この基礎研究についても以下の成果を得た。 Takashi Kurihara, 2023. Sufficient conditions making lexicographic rules over the power set satisfy extensibility. Journal of Mathematical Psychology, Forthcoming.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現段階での主な作業はデータ収集となっているため、分析を開始しやすいようデータクリーニングを行っている状況である。データ数に若干の不安もあるが、分析対象を吟味しながら可能な限りデータを収集している。 具体的な進行状況として、『Geo Suite道路網2020全国版』については3年度分購入が完了し、今年度も購入予定である。『コード内容別医療機関一覧表』については2021年度分まで収集が完了しており、2022年度分も着手しているが、サンプルが少ないため、「新規設立」だけでなく「移転」も含めるか検討中である。『全国小地域将来推計人口』、『国土数値情報/都市地域土地利用細分メッシュ第1.3版』、『土地総合情報システム』、『患者調査』については昨年度と同様に作業を進めている。 また、シミュレーション分析に入るには時間がかかるため、すでに収集したデータの範囲で回帰分析も行っている。分析内容としては、建設地として選ばれる要因を明らかにするべく、被説明変数を候補地のうち選択されたものを1とするダミー変数とし、説明変数を候補地周辺の地理的情報および地価などとして分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
データ数にも依存するが、今年度までをデータ収集期間とし、最終年度に成果を出すべくデータ解析を始める。ただし、シミュレーション分析においては、データ数が少なくとも当初の研究方針を変更する必要はない。 他方、計量分析の方には多大な影響があり得る。データ数は、今年度を含め医療施設の建設がどの程度行われるのかによって決まってしまうため、あまりにデータ数が少ない場合は、今後研究を継続していく上での基盤を整えながら、一旦成果をディスカッションペーパーの形で公表することや、学会での報告を目指す。一番の懸念点は、配置場所の周囲に空き地(候補地)がなく、施設配置において複数の候補地からの選択行動が行われていないケースが大多数を占める場合である。上記の懸念点についてのプロジェクトとしての対応は、本プロジェクトの主要成果から外し、長期的な研究として扱うことになると考えている。あくまで付随する研究内容であるため、研究計画においては微小な変更である。
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Causes of Carryover |
交付決定時の使用額が年度ごとに大きく異なるため、次年度以降も継続して約80万円のデータを購入し、突発的に必要となるソフトウェアの購入にも対応できるよう、本年度は支出を可能な限り抑えている。
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