2023 Fiscal Year Research-status Report
中欧における次世代自動車へのシフトとバッテリー生産集積に関する研究
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21K13359
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Research Institution | Hagoromo International University |
Principal Investigator |
岡崎 拓 羽衣国際大学, 現代社会学部, 准教授 (10823510)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自動車産業 / 中東欧 / ポーランド / 外国直接投資 / FDI / 電動化 / 環境政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、主に以下の2点について研究を進めた。一つは、ポーランド自動車産業における電動化について、政府の電動化支援体制と電動車市場としての現状と課題の分析を行った。もう一つの点として、同国自動車産業の発展の各過程において、大手完成車メーカーのネットワーク形態の変容とEU・ポーランド政府・外国メーカーの3者の関係性の変化の分析を進めた。 電動化の進展については、前年度からの研究を進展させ、大手メーカーの生産製品の電動化とポーランドにおける完成車生産の減少、および対照的なバッテリー生産の集積と、それに伴うアジア系バッテリー企業の新規進出と欧州ネットワークへの組み込みの状況を明らかにした。この中では、欧州におけるEU勢企業とEU、そしてアジア勢企業の車載電池競争の状況におけるポーランドの立ち位置の変化と、その一方で国内市場の電動化の遅れとその進展のための課題を国家戦略・政策との関連で指摘した。 同産業のネットワークの変容については、同国の経済体制の変容と、それに対応した国内自動車産業の構造変化を、進出外国企業の活用形態及び、国内企業の盛衰と他国との連関の観点から分析した。結果として、ポーランド自動車産業の、市場経済体制移行前後における「連続」性の存在、中欧域内での画一的成長形態の「断絶」、および国家(ポーランド政府)、外資(多国籍メーカー)、EUの三者による綱引き(利害対立)状態にあることを主張した。 研究結果については、比較経済体制学会第63回全国大会、および経営史学会関西部会において報告を行った。また2024年3月にはポーランドにて現地調査も実施し、自動車関連企業、シンクタンクなどでの聞き取り調査および資料収集を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに計画段階より、研究の実施、発表に若干の遅れが生じている。主な理由の一つは、ポーランド自動車産業の電動化に関連する政策文書、報告書等の収集範囲が多岐にわたり、その整理・活用に時間を要している点がある。加えて、本研究開始当初から予定していた海外研究調査がコロナ禍での海外渡航および現地受け入れ組織の受け入れ可否などの状況悪化により実施が2023年度末にずれ込み、その調査結果の研究への反映、公表が遅れている。一方で、これらの研究活動により、当初の計画以上に当該地域の自動車産業の電動化に対するEU、政府各レベルの政策、特に環境政策の関与の形態とレベルの分析が可能になると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は前述の研究の遅れとその影響へ対処し、計画に沿った研究進行の実現を目指す。 主たる内容は、ポーランド自動車産業の電動化における政策対応と、環境戦略の影響分析である。2023年度に収集した資料、インタビュー内容を活用し、産業政策だけでなく、環境政策の側面からも産業全体の構造変化と企業ネットワークの変容に対する公共部門の関与を分析する。 これらの分析については、国際学会での学会発表および論文投稿を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度までの研究の遅れに伴い、補助期間の1年延長を申請した。 これに従い、前年度までに購入予定であった資料(主に欧州自動車産業関連)の購入、学会発表等に伴う出張費を2024年度に支出する必要が生じたため、2024年度使用額が生じている。使用使途については計画段階から大きな変更はない。
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