2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K13370
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
蒋 博文 近畿大学, 経営学部, 講師 (10839583)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 集合知 / UGC / 出版業界 / ライトノベル / デジタル・コンテンツの形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度に実施した研究の成果は主に①「先行研究整理と理論部分の構築」、②「必要なパネルデータの収集と整理」、③「2回目パイロットテストの結果とモデルの見直し」である。以下簡単に説明を行う。 ①「先行研究整理と理論部分の構築」では分析対象とするライトノベル産業のみならず、出版産業全体における近年の情勢・特徴を反映した関連書籍、公開資料を継続的に集め、先行研究の整理を行った。結果的に、UGCの商品化を進める企業(出版社)の産業的背景や当初見えていなかった具体的な狙いに関して理解を深めることができた。また、インターネット小説などのデジタル・コンテンツに関しては、既存の出版編集ノウハウの一部が様々な要因で適用できないことが分かった。 ②「必要なパネルデータの収集と整理」ではプラットフォーム上の各種UGC作品のパネルデータの収集を申請者+共同研究者で継続的に行った。すでに収集した一部のデータに関しても精緻化と選別を行い、初回パイロットテストよりも正確な分析を行うことができた。 ③「2回目パイロットテストの結果とモデルの見直し」では、2回目パイロットテストの結果を踏まえ、研究協力者と議論を重ね、分析枠組みのさらなる一般化を進めるため、初回のパイロットテストからモデルの大幅な変更を行った。具体的には当初説明変数として予定していた「商品化後のコンテンツ更新量」と「商品化後のコンテンツ修正」いう2つの「企業の意思決定」をモデレータ変数として再設定し、申請者の既存研究で用いられた「不特定多数のユーザーの集合知に関する行動(評価行動とコメント行動)」を説明変数として利用した方が、より実際のコンテンツ形成・販売プロセスに近いモデルを構築できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①:「研究実績の概要」で述べたように、2回目パイロットテストの結果を踏まえ、本研究では分析モデルの大幅な変更を行った。「商品化後のコンテンツ更新量」と「商品化後のコンテンツ修正」を説明変数として予定していた元々のモデルでは、出版社がかかわるコンテンツ形成と販売のダイナミズムを十分に説明できないと判断した。そのため、上記変数をモデレータとして再設定し、「不特定多数のユーザーの集合知に関する行動」を説明変数として利用することにした。これに伴い、大量の新規データの収集が求められている。これが最も大きな理由である
②:研究期間中、データ収集対象となるプラットフォームに一部機能と関連インターフェイスの変更があったため、作業の見直しが行われた。ただし、分析手法への大きな影響はなかった。
③:新型コロナウィルスの感染状況を踏まえ、当初予定していた国際学会は見送り、主に小規模な研究会です研究の進捗報告やブラッシュアップを行っていた。
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Strategy for Future Research Activity |
理論部分の構築はすでに完了しているため、今後は分析モデルの変更に合わせたデータの収集を引き続き行い、さらに複数回の分析データ更新とモデルの見直しを行う予定である。分析結果が固まり次第、研究成果を学会で報告し、その後に論文の執筆を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
2回目パイロットテストの結果から分析モデルに関する大幅な見直しがあったため、「データ会社からの売り上げデータの購入」と「分析用設備(PC等)の購入」が先送りとなった。 また、新型コロナウィルスによってもともと予定していた国際学会を含む学会参加が見送りとなった。全体としての研究手順は変わらないため、分析モデルが固まり次第、データと関連設備の購入を行う予定である。
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