2022 Fiscal Year Research-status Report
個人の主体的なワーク・ライフ・バランスの実現に必要な資源に関する研究
Project/Area Number |
21K13371
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高村 静 中央大学, 戦略経営研究科, 准教授 (10808736)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ワーク・ライフ・バランス / 境界管理 / 資源保存論 / テレワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の成果を踏まえて調査票を作成し、調査会社のパネルを対象にウェブサーベイ方式によるアンケート調査を実施した。 調査は、新型コロナウィルス感染拡大により、2020年4月7日に特定警戒都道府県に初回の緊急事態宣言が発出された当時、①その地域に居住していた、②その際に自宅でテレワークを行った、③従業員規模300名以上の民間企業の管理職以外の正社員だった、④20~60歳だった、⑤大学卒業以上の学歴だった、の条件をすべて満たす者を対象として実施し、分析は、いわゆるエッセンシャルワーカー以外の者1,443名を対象に行った。 分析は、コロナ禍で実施された自宅におけるテレワークの実態を帰納的に明らかにした上で、どのような個人(P)要因や職場(環境(E))要因の組合せの下でワーク・ライフ・バランスが困難であったか、資源保存論(COR)やワーク・ライフ・コンフリクト(WLC)、境界管理の概念に着目して行っている。 これまでのところ、以下の2点が明らかになりつつある。①テレワークを実施する資源が不足している場合、より資源を消耗すると考えられる場合、さらに資源を補填する環境にない(P-Eフィットが低い)場合に深刻なWLCに直面する傾向がある、②ただしWLCは資源喪失の状況から回復しようと自主的に行う問題解決に向けた二次行動(ワーク・ライフ・クラフティング行動)を促す傾向があり、そのことを通じて境界管理知覚が高まり、WLBの状況も改善している可能性がある、という点である。 なお、リモートワークを企業の方針として推進している企業の管理職層に対するインタビュー調査も継続的に実施した。部下の自律性を損なうことなく、チームを効率的に構築・運営して、業務の成果を達成するためのマネジメントに関する情報を収集している。一旦とりまとた内容は学会報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に予定していたアンケート調査を予定通り実施し、分析を継続的に実施している。これまでの分析内容はとりまとめており、原稿の修正を行っている。インタビュー調査も継続して実施し、その内容bについては学会で報告を行った。また、学会報告の内容を紀要に投稿するための準備を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、昨年度実施した調査で得たデータを、異なる着眼点から分析し、現在修正している原稿とは別に取りまとめを行う予定である。 さらに、昨年度のアンケート調査とインタビュー調査をの両方を踏まえ、テレワーク等の個人の自律性を尊重する働き方と、職場の管理職のリーダーシップとの関係を、アンケート調査によって明らかにすることを予定している。個人に付与する自律性は、仮にWLCに直面しても、自身で創意工夫を行いWLBを実現するための資源になりうること、管理職による特定のリーダーシップのスタイルは、個人の自律性の尊重とチームの目標の両方を達成しうること、について検証する予定である。
|
Causes of Carryover |
実施した調査にかかる費用が想定を下回ったこと、また本研究と重なりのあるテーマの他の研究に助成が受けられることとなり、そちらから調査に対する費用負担を受けられたことが主な理由となっている。本年度、これまでの成果を踏まえ、さらなる調査を実施する予定である。
|