2021 Fiscal Year Research-status Report
多様性推進という経営組織による能動的行為の影響とその影響過程に関する検討
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21K13376
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
砂口 文兵 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 准教授 (70827328)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多様性 / 組織(変革) |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の計画は、多様性研究と組織変革研究の接合点と両者の関係を明確にすることであった。その計画内容に関して、本年度に実行を計画していた内容は、次のものであった。1つは、組織的デモグラフィー研究を含む多様性研究と組織変革研究がいかなる点で接合しうるかを検討することである。つまり、多様性研究と組織変革研究の空隙を指摘した上で、両者を架橋する点がどこにあるかを論じることが、本年に計画されていた内容であった。 上述の計画内容について、本年は多様性と組織の接合点ならびに両者の関係性を検討した。具体的には、多様性研究の一研究分野である組織的デモグラフィー研究に関して、いかなる点で組織的デモグラフィー研究が組織と結びつくのかを理論的に再考した。その結果、多様性研究に含まれる組織的デモグラフィー研究において、組織とのつながりが弱化した状況があったことに加え、近年では組織との結びつきを示唆する研究があることが明らかとなった。なお、本研究成果については、組織学会で報告された(砂口・貴島, 2021)。 以上の内容を踏まえ、本年度に実施した研究成果の意義や重要性を述べる。本年度の成果の意義は、多様性研究と組織変革研究の接合点と関係性に関して、組織的デモグラフィーという多様性と組織との関係を議論した点にある。この内容の重要性は、来年度以降の経験的データにもとづく検討に関して、多様性という視点と組織(変革)という視点の両方を併せて考察する必要性を示唆する点にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況について、「(2)おおむね順調に進展している。」を選択した理由は、研究実施計画に記した期待される成果と整合する研究成果があげられたためである。具体的には、多様性研究において、組織がいかに取り上げられてきたかを考察することができた。ただし、本年度で考察した多様性と組織の繋がりは、組織変革研究と多様性研究それ自体のものではない。そのため、次年度以降も引き続き、両者の関係性を意識した研究成果が求められるといえる。しかしながら、いま述べた課題については、来年度以降に計画される経験的データによる検討でも必ず必要となる。それゆえ、当初の計画から著しく変更を要する課題ではない。よって、進捗状況に関しては、おおむね順調に進展していると判断した。 以上の内容をまとめると、当初の計画では、多様性研究と組織変革研究の接合点を明確化することが本年度で完了する予定であったが、この点は来年度以降も継続となった。ただし、このことは来年度以降の研究計画を大幅に変更するものではないため、現状の進捗状況はおおむね順調だと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策について、研究実施計画を踏まえれば、次年度はインタビューデータを利用した、経験的研究段階に入る。しかしながら、既述した「現在までの進捗状況」の内容を踏まえると、今後の研究を推進する際にも、多様性研究と組織変革研究の接合点をより明確化する必要がある。したがって、今後の研究に関しても、本年度と同様、多様性研究と組織変革研究の接合点を明確するよう、理論的検討を続けていく必要がある。 次に、次年度はインタビューデータを用いた経験的検討を行う段階となる。そのため、インタビューデータの入手、整理、分析、考察を実施することが研究の推進方策となる。とりわけ、インタビューデータについては、翌年度の研究成果の発信を踏まえると、分析だけでなく、研究成果物への変換が重要となる。この点について、現段階ではインタビューデータを用いた事例分析を考えている。ゆえに、インタビューデータを扱うとともに、事例分析に関する学習を行うことが推進方策として必要となる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、主に2つある。1つは、当初計画していた「資料整理」に関して、新型コロナウイルスの影響から、学生雇用による作業が難しい状況が生じたことである。もう1つは、購入予定であったPCに関して、次年度に新しいモデルが発売されるため、PCの機能面を考慮し、次年度に新しいモデルを購入するように決めたことである。 上記2つの理由による次年度使用額に関しては、次年度において、次のように使用する予定である。まず、1つめの理由から生じたものについては、来年度行う予定であるデータ収集等の費用に充てる。次に、2つめの理由から生じた金額は、次年度において、研究実施計画に記載したPC等の購入費に充てる。
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Research Products
(2 results)