2021 Fiscal Year Research-status Report
通信販売の配送における配送効率化を促す消費者の選択行動に関する研究
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21K13383
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
宮武 宏輔 流通経済大学, 流通情報学部, 准教授 (40784343)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インターネット通信販売 / 消費者の受取方 / 置き配 / アンケート |
Outline of Annual Research Achievements |
インターネット通信販売(以下、ネット通販)物流の構造について、既存の大手ネット通販事業者と宅配便事業者のラストマイル部分を中心に現状整理を行った。Covid-19流行前から、地場の運送事業者や貨物軽自動車運送事業の許可を受けたオーナードライバーに配送を委託する形でネット通販物流のラストマイルネットワークは維持されてきたが、Covid-19流行によってネット通販の利用も増え、一層その傾向は顕著となっているようである。 その一方、消費者のネット通販商品の受取方にも変化が起こった。Covid-19の流行で置き配の「非接触」という要素が注目されるようになり、それまで置き配に消極的であった消費者や宅配便事業者らも置き配を容認するようになった。本研究で行ったインターネットアンケートの調査結果(総数646、男女比1:1、20代~70代以上の6世代もほぼ同数)によると、2021年4月の直近1年で回答者の44.9%が置き配の利用経験があり、その内83.1%は「今後も利用したい」と回答している。 なお、今回の調査ではコンビニ受取、公共型宅配ロッカーのCovid-19流行過去に著者が行った。Covid-19流行以前(2019年11月)にもコンビニ受取と公共型宅配ロッカーの利用動向を調査しており、その際の結果と今回調査結果を比較するとコンビニ受取は23.0%→30.3%、公共型宅配ロッカーは5.9%→16.7%とどちらも増加した。特にコンビニ受取は、Covid-19感染防止のための非接触という要素はないものの利用割合が増加している。このことから、Covid-19の流行によって、これまでネット通販をあまり利用してこなかった消費者もネット通販の利用頻度が増加し、「在宅して受け取るコスト」を強く感じるようになった結果、従来以上に様々な受取方を選択するようになったのではなかろうか、と考察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事業者側の施策の実施状況やインタビュー調査だけでなく、消費者を対象にしたアンケート調査を実施し、分析できたことで、消費者側の調査は当初の研究予定よりも順調に進んでいると言える。またその結果も、単にCovid-19の感染防止という限定的な要因ではなく、ネット通販そのものの利用頻度や利用状況が受取方に影響している可能性が示唆されたことも、今後の研究の方向性としては好材料になり得ると考えられる。 ただし、配送効率化による社会的影響を分析するための、事業者側の配送ネットワークの現状については、Covid-19での混乱もあったため明確になっていない部分もあり、その点では若干従来の計画からは遅れている。 以上の当初予定よりも進展した点と遅れた点を考慮して、研究全体としては「おおむね順調に進展している。」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
ネット通販事業者、宅配便事業者らの調査によってネット通販物流の配送ネットワークについて、より詳細な実態を明らかにする。 また、各受取方に対して消費者が感じる価値と費用についての定量的な策定を試みる。まず各受取方の選択によって消費者が負う費用を時間価値に基づいて整理する。さらに、単純な時間費用だけではない費用を消費者が感じている可能性を考慮し、配送サービスに対して消費者が感じる価格について内的参照価格の観点からも分析を行うために理論整理を行う。 そのうえで、ネット通販の利用実態と受取方の関連性をより明確に把握するための調査を実施する予定である。具体的には、どのような種類の、どの程度の金額の商品であるかによって、消費者が許容できる受取方は異なることを考慮して、仮想的な基本設定を提示したうえで様々な条件を変更した場合の消費者の選択変化をコンジョイント分析で検証する。基本設定した配送料金の割引、受取場所から自宅までの距離、注文商品の価格以外、各配送オプションの利用経験を調査する。
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Causes of Carryover |
Covid-19の流行による海外渡航・国内移動の制限や学会のオンライン化によって、当初計画よりも旅費を利用することが難しかった。また、半導体不足も影響したため、2021年度で購入予定であった備品の調達も遅れてしまったことも次年度使用額が生じた理由である。 2022年度は移動緩和の傾向を受け、国内外の調査についても具体的な計画が進んでおり、また購入予定備品についても目処が立ちだしたので、計画を順調に進行させるためにも早急に研究を進めていく。
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Research Products
(4 results)