2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on the formation process of customer experience through co-creation activity between retailers and customers
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21K13394
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
張 セイ 金沢大学, 経済学経営学系, 講師 (20803472)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 顧客経験 / 共創活動 / 相互作用 / 小売マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日常生活における顧客経験の形成・変化プロセスを明らかにし、その中で小売企業と顧客の継続的な共創活動が果たす役割を解明することである。 令和3年度においては、主に2つの研究活動を行った。まず、先行研究レビューを通して、顧客経験と共創活動に関する概念整理を行った。その成果に基づいて、コロナ下における小売企業と顧客の共創活動の実態について調査した。帰納的アプローチによるデータ分析の結果、小売企業と顧客の共創活動を「顧客との距離」と「顧客のコールへの貢献」といった2つの軸から分類することができると分かった。 また、顧客経験の形成プロセスを解明するための予備調査を行った。顧客を対象とするアンケート調査を実施し、ある出来事がどのような状況において「経験的」と知覚されるか、その中で小売企業との共創活動はどのように影響するかについて検討した。その結果、非日常的経験は顧客の文脈に強く依存していること、感情を喚起するためのマーケティング活動の効果が期待できること、小売企業と顧客の直接的相互作用が感情喚起に効果があることが結論付けられた。先行研究では、企業がコントロールできる顧客接点に注目し、その反応としての経験を中心に議論してきたが、本研究は顧客の立場から経験の形成を捉える視点を提供している。 上記の2つの研究成果は、本研究のキーワードである「共創活動」と「顧客経験」の概念理解に示唆を与えている。これらの研究成果をもとにして、令和4年度に予定している本調査をスムーズに進めることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度に実施した先行研究レビューと予備調査の分析は順調に進んでいる。また、学会報告済みの研究成果も論文発表に向けて進めていることから、おおむね順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度では、まず、前年度の研究成果の論文作成を進める。また、顧客経験の形成・変化プロセスを解明するための本調査の実施に着手する。本研究は時間軸を分析に取り入れているため、本調査は複数回に分けて実施する予定である。 先行研究レビューで整理したいくつかの方法論的アプローチを比較検討した後、当初で予定したインタビュー調査とアンケート調査を実施し、調査結果について理論的に検討していく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会出張と調査のための旅費、投稿論文の英語校正の費用は令和3年度で支出していなかったため、差額が生じた。 令和4年度に、企業インタビューと顧客インタビューを複数回実施し、研究成果を国内外の学会で報告するため、その分の費用が必要となる。また、英語論文の執筆が進んでおり、校正費用を令和4年度で支出する予定である。
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Research Products
(2 results)