2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on the formation process of customer experience through co-creation activity between retailers and customers
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21K13394
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
張 セイ 金沢大学, 経済学経営学系, 講師 (20803472)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 顧客経験の動態性 / 記憶性 / 感情的反応 / サービス経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
顧客経験に関する理論的・実証的研究は、特定の時点において、企業の特定のタッチポイントに対する顧客の反応に焦点を置いている。しかし、時間の経過とともに蓄積もしくは変化している経験に関する検討が不十分である。本研究は、顧客経験のダイナミックな特性に注目し、小売企業と顧客の継続的な共創活動を通して、顧客経験がどのように形成され、変化しているのかを明らかにすることを目的としている。 2022年度は、「顧客経験の動態性」をキーワードに研究活動を行った。その結果、(1)感情喚起、記憶性、新規性といった特徴がある出来事が「経験的」と知覚されること、(2)過去の経験の記憶は他者への口コミ発信行動を通して変化することが分かった。経験の記憶性(memorability)が時間の経過とともに変化する顧客経験プロセスの形成に影響を与えることが確認された。記憶に残る経験は特定の文脈において回想され、顧客の生活全般の満足度や望ましい行動成果に対して持続的な影響を与えることができると推測できる。記憶性(memorability)と顧客経験の形成プロセスの関係を解明するために、どのような小売サービスが経験として顧客の記憶に残り、どのような条件のもとでその記憶が喚起され、新しい経験の形成に結びつくかを検討する必要があると結論づけた。この方向に向けて、顧客を対象とする深層インタビュー調査を継続的に実施しています。 また、COVID-19の環境下における顧客経験の形成と変化を解明するための研究調査を実施した。COVID-19がビジネス環境にもたらした変化の中で、顧客の感情的反応がサービス経験に与える影響を検討し、企業が展開するマーケティング活動の有効性について議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は査読付き論文2本(うち学術誌論文1本、査読付きカンファレンスプロシーディングのフルペーパー1本)、口頭発表等5件(国内学会口頭発表3件、国際学会口頭発表2件)の研究実績を上げることができた。また、本研究の中核的な課題に関する調査も予定通り進めているため、全体的に順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度に引き続き、顧客に対して継続的にインタビュー調査を実施していく。すでに実施したインタビュー調査の分析結果に基づき、小売現場の接客従業員や、カスタマイゼーションサービスを提供する小売企業を調査対象に加え、研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の影響で、当初予定していた国際学会への現地参加ができなかった。2023年度は開催地での参加が可能となる見込みであるため、国際学会参加のためには旅費が必要となる。
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