2023 Fiscal Year Annual Research Report
経営者の特性と管理会計システムの導入および利用の状況との関係
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21K13403
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
窪田 嵩哉 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (40881545)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 会計業務 / 管理会計 / 経営者の特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は日本企業において、経営者の特性と各企業における管理会計の導入・利用との関係を明らかにすることである。特に本研究では国内のスタートアップ企業に焦点を当てて研究を実施した。それを通じて比較的経験的証拠の少ないスタートアップ企業における管理会計実務の在り方を調査する狙いもある。 2023年度の中心的な活動はこれまでの調査をもとに執筆した論文の公刊に向けたものであった。具体的には査読誌への投稿と査読コメントへの対応・修正である。結果として、国際査読誌に論文が公刊された。 同論文では、経営者の特性がスタートアップ企業における会計情報システムの設計、および管理会計を含む会計業務に与える影響について検討した。具体的には、質問紙調査を行い、会計情報への関心の度合いが高い経営者ほど、①予算管理をはじめとする管理会計業務を積極的に実施すること、②会計情報システムに投資し、それが管理会計の実施を促すこと、などを指摘した。 加えて同論文では副次的な分析として、近年導入が進むクラウド会計について、スタートアップ企業における会計業務への影響と、その導入要因を検討した。結果として、①クラウド会計の導入は財務会計業務と管理会計業務を促進するものではないこと、②勤続年数の長い経営者や、他組織での勤務経験のある経営者はクラウド会計の導入に消極的であること、が観察された。 同論文の主要な貢献としては、会計情報システムの分野において、会計情報システムの設計に影響する要因と会計情報システムの設計、ひいては組織内における会計業務の実施それぞれの関係の包括的な分析を初めて実施したことが挙げられる。
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