2023 Fiscal Year Research-status Report
An analysis of goal setting and non-linear incentive schemes
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21K13406
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 太一 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 講師 (10779771)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 参照点依存効用関数 / モラルハザード / 主観的業績評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非線形な報酬契約や参照点依存効用関数に注目した理論的分析を実施している。当年度は、主観的業績評価のモデルに参照点依存効用関数を応用した分析を実施した。主観的業績評価では、評価者が私的に被評価者の業績を観察する。たとえば、「被評価者の仕事ぶりは優秀だった(優秀でなかった)」という評価は、評価者のみが観察できるのであり、被評価者は観察することができない。「仕事ぶりが優秀だった場合には特別賞与を支払う」という取り決めがあったとしても、評価者は賞与支払いを渋って「被評価者の仕事ぶりは優秀だった」という主観的業績を観察したにも関わらず、「被評価者の仕事ぶりは優秀でなかった」とウソをつくかもしれない。一方で、被評価者も自身の仕事ぶりに関する自己評価を私的に観察するはずである。こうした自己評価は被評価者のみが観察できるのであり、評価者は観察することができない。被評価者は、自身の自己評価に基づいて「(この自己評価なら)特別賞与をもらえるはずだ(もらえるはずがない)」という期待を形成する。このとき、自己評価にもとづく期待報酬額と、評価者の主観的評価にもとづく実際報酬額の間に乖離が生じた場合、被評価者はその乖離から何らかの効用を得るだろう、というのが今回の分析における設定である。この設定をモデリングするために、本稿ではKoszegi and Rabin (2006) で導入された参照点依存効用関数を応用している。 分析の主要な結果は次の通りである。被評価者の楽観性(被評価者が高い自己評価を得る確率)が高まると,期待報酬額が実際報酬額を下回る可能性が高まってしまう。そのため、期待報酬額が実際報酬額を下回ったことによる損失感情を補うため、経営者はより多くの金銭的インセンティブを被評価者に支払わなくてはならなくなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度まで分析していたモデルの分析が思うように進まず、当年度分析モデルを大幅に変更した。そのため、研究の進捗は当初予定したものよりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、このモデルの分析をさらに進め、国内外の学会や研究会で研究報告を行う予定である。年内の論文投稿も目指している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で過年度に予定していた国際学会への海外出張を取りやめたこと、および国内学会がオンライン開催となり予定より国内旅費がかからなかったことが理由である。 2024年度は、学会参加のための旅費、英文校正サービスの利用料金、論文投稿料金として利用を計画している。
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