2022 Fiscal Year Research-status Report
Foster Care and Medicalization
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21K13422
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Research Institution | Tohoku Bunkyo College |
Principal Investigator |
吉田 耕平 東北文教大学, 人間科学部, 准教授 (80580836)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医療社会学 / 医療化 / 子どもの問題行動 / 発達障害 / ADHD / 向精神薬 / 社会的養護 / 児童養護施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本で注意欠如多動症や自閉スペクトラム症など「発達障害」に関する言葉が、1990年代に入るまで、現在のように頻繁に用いられることや、子どもの性格や行動上の問題に対して「発達障害」という診断名が付与され、論じられることはなかった。しかし、1990年代後半から2000年代にかけて、子どもの問題行動を医療的な問題としてみる視角が確立し、問題を起こした子どもに「発達障害」の診断名が付与されるようになる。特に、2000年代以降、日本の社会的養護を担ってきた児童養護施設において、問題を起こした子どもが注意欠如多動症の診断を受け、向精神薬投与に至っているという事例が増加している。そこで、本研究は児童養護施設において、いつ頃から子どもの問題行動に対して「発達障害」といった医学的診断名が用いられ解釈されるようになったのか、また医療化が進む児童養護施設では、子どもの養育にどのような変化が起きているのかを明らかにすることが目的である。 2022年度は、質問紙調査で用いる質問票の作成を進めてきた。そして、作成した質問紙については、研究会で報告し質問文や項目、選択肢の適切性、質問紙全体の構成、さらに文字のサイズや字体などフォーマットに関わる部分まで検討を重ねてきた。こうして質問紙の精選および妥当性の検討を繰り返しおこない、調査に向けて準備を進めてきた。2023年度は、全国の児童養護施設に質問紙を配布し、施設職員は子どもの医療化とどのように向き合ってきたのか明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の活動として、児童養護施設で調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、調査の実施を見送った。そのため、本年度は他の科学研究費助成金のグループの研究会等に参加し、研究報告並びに共著本の執筆等をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、児童養護施設において質問紙調査を実施したい。あわせて、児童養護施設で働く職員へのインタビューを実施し、児童養護施設における医療的ケアのあり方について理解を深めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大等の影響により、2022年度に予定していた全国調査を見送った。延期した全国調査は、2023年度に実施を予定しており、2022年度未使用分に関しては2023年度に引き継ぐこととなった。この全国調査を終えた段階で、インタビュー調査の実施も検討している。
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