2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K13423
|
Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
鳥越 信吾 十文字学園女子大学, 社会情報デザイン学部, 講師 (00839110)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 待機 / 時間 / 行為 / 意味 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、待機現象について社会学の観点から解明していくことにある。 今年度、本研究では、待機について主題的に取り扱った文献を集中的に読解した。近年は待機についての社会学的研究が徐々に隆盛を見てきている。たとえば、2016年にはドイツの人文科学専門誌であるSociologia Internationalisで、2019年には社会科学の時間論の専門誌Time and Societyで、それぞれ待機の特集が組まれている。他にも、著書として、Manpreet, J and Bandak, A. 2019, Ethnographies of Waiting, Routledge.やPrice, P. 2021, Sociology of Waiting, Lexington Books.などが相次いで出版されている。本年度はこれらの読解を行った。 本研究にとって特に示唆的だった研究が、Ayass, R. 2020, "Doing Waiting: An Ethnomethodological Analysis," Journal of contemporary ethnography, 49(4): 419-455.である。この研究は、エスノメソドロジーの観点から、待機実践を行う人びとの方法を記述し、その結果以下のようなことを明らかにしている。すなわち、これまで待機は「何もしていないこと」や「怠惰」などとして理解されやすく、それ自体十分な研究主題とはなりえてこなかったこと。また、待機を主題化した既存の研究は、人が待機していることそれ自体を同定しやすい待ち行列の分析を主に行ってきたが、日常生活における待機は待ち行列にはとどまらない広がりをもちうること。この研究はそれゆえ、待機現象を包括的に探求しようとする本研究にとってまたとない先行研究になりうる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は待機を主題化した国内外の文献の収集・読解を集中的に実施した。文献研究であったため、新型コロナ感染症にともなう諸々の制約の影響も受けず、研究は比較的順調に進展したと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、待機について主題化した研究論文および単著の読解をしてきた。2022年度はこの成果に立ち、既存の社会理論、なかでも行為論が、待機をどのように論じてきたのか、あるいは論じてきていないのか、ということを明らかにしていく。検討対象としてはM・ウェーバー、T・パーソンズ、A・ギデンズ、P・ブルデュー、J・ハーバーマスらの学説を想定している。
|